内容説明
物理学の歴史に刻まれる大発見には常に、新たな数学が関係してきた。本書では、ニュートン力学、解析力学、相対性理論、量子力学という、いずれも「美しい」数学の言葉で書かれた物理の理論をとりあげている。説明にあたっては、専門書で隅から隅まで勉強していたら理解できるまでに何年もかかってしまう数学のエッセンスを、できるだけ平易に、かつ本質を省略せずに解説して、それが物理の法則を解き明かす面白さがわかるようにした。
目次
1 微分法が解き明かした運動の法則(万有引力の発見―『プリンキピア』を読む;未来を予測する数学―微分方程式 ほか)
2 変分法が解き明かした運動の法則(変分法とその応用;最小作用の原理が運動の法則を表す)
3 曲がった空間の幾何学が解き明かした相対性理論(物質の分布が空間の曲がり方を決める;時空の曲がり方が物体の運動経路を決める)
4 複素数が解き明かした量子力学(複素数と三角関数の美しい関係;三角関数の位相が解き明かした光の波 ほか)
著者等紹介
大上雅史[オオガミマサシ]
1967年生まれ。東京大学理学系大学院卒。現在、大学受験塾講師。専門は重力理論、量子論。理学博士
和田純夫[ワダスミオ]
1949年生まれ。東京大学理学系大学院卒。現在、東京大学総合文化研究科専任講師。専門は素粒子論、量子論、科学論
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感想・レビュー
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松村 英治
1
物理学の各分野と数学を関連付け、科学史なども交えながら平易に解説されている。ただ、この手の本は紙で読まないと、電子書籍では頭に入ってこない…。2016/04/29
Rollin'
1
力学と電磁気学の基本的な考え方が数学と関連づけて説明されている。この手の書籍は好きなので何冊か読んでいるが、今までに無いアプローチだったので新たな興味をもつことができた。ただ、ニュートンやアインシュタインといった天才の考えていることを本当に理解できない自分がもどかしい。2014/10/14
ピエール
0
重力で場が歪むという概念が、ようやくこの本で理解できた(気がする)。高校の数学レベルで判るようにと気を遣っているけれど、突然気を遣うのを止めてしまう場所もあり、オイオイと言いたくなるけれど面白かった。量子力学までとあるが、実際には、ニュートン力学から相対論までで、量子力学の部分については、電子の二面性(粒子の特性と波の特性の両方を有する)で止まっている(数学無しでこれ以上は無理?)。ケプラーの発見とプリンピキアの解説をもっと詳細に記述した方が楽しめるのではないかと思った。そちらへの期待が大だったので。2012/11/10