内容説明
ホール営業のノウハウを導入し、ダンスによる国際親善をすすめた加藤兵次郎。数多くの教則本を翻訳・執筆したダンス教師の草分け玉置真吉。そして、アマチュアの場所からサークル・ダンスの可能性を考える川北長利のいま。旅人と本が海外との架け橋だった時代、タンズを通してしあわせを見つめた三人の物語。
目次
第1部 海を渡るサムライ―加藤兵次郎の夢
第2部 幸福の秘密伝道―玉置真吉の生涯
第3部 サークル・ダンスの可能性―川北長利さんの現在
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
浅香山三郎
5
『社交ダンスと日本人』の姉妹編。通史的な視点から書かれた前書とは異なり、日本の社交ダンス受容の過程で個性的な役割を果たした、加藤兵次郎・玉置眞吉・川北長利の三人の評伝として構成される。勿論、ダンスの実技を知つてゐる方が本書の価値はより分かるのだらうが、さうでなくともダンスに傾けた精神的営為のみならず、日本人の「近代」とか「モダンなもの」への向き合ひ方の軌跡を知る上でも本書は面白い。とりわけ、玉置眞吉の軌跡は興味深い。新宮の山間地の出身で、キリスト者であり、大石誠之助に薫陶を受けた。大石が大逆事件で2016/08/14