内容説明
古代日本の姿を描いた「魏志」倭人伝。その史書に記された狗奴国とは?激動する2~3世紀の歴史のなかで東日本像を初めて浮き彫りにする。
目次
弥生時代の戦争
東日本の環濠集落
邪馬台国時代の畿内・東海・関東
関東地方の弥生土器
S字甕の移動
邪馬台国と狗奴国との戦争―西日本の東端と東日本の西端
最後の銅鐸
神門3・4・5号墳と古墳の出現
群馬県・中高瀬観音山遺跡―中部山岳東麓「山のクニ」の大拠点
東京都・下戸塚遺跡―弥生時代後期の環濠集落
感想・レビュー
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hyena_no_papa
2
1991/11/5刊。執筆は佐原眞、白石太一郎、山尾幸久、坂井隆、車崎正彦、赤塚次郎、設楽博己、田中新史、春成秀爾の諸氏。「討論」にもあるように邪馬台国九州説は一人もいない。本書のキモは狗奴国の位置論に焦点を当て、銅鐸も含めた考古学見地から尾張説と東遠江説を検討する。2世紀の終わり頃近畿勢力と東海西部勢力との対立を想定するが、これは『後漢書』の桓霊間倭国大乱を連想させる。これに纏向出現を重ね合わせれば、ヤマト王権の創成がかすかに見えてくるような印象を持つ。山尾氏指摘の如く久努臣は狗奴国の後裔ではないか?2023/07/01