内容説明
個人と組織の間で苦悩する遠征隊長と登頂に挑む日本山岳協会K2隊を描く『K2に憑かれた男たち』と、東京の下町に生まれたブルーカラーを主力とする山学同士会。既成の権威に対しエキセントリックといえるほど叛逆を試み続けたこの登山集団にあって、ひときわ非妥協的な自己主張を行った登山家・小西政継を描く『栄光の叛逆者』を収録。
目次
K2に憑かれた男たち
栄光の叛逆者―小西政継の軌跡
著者等紹介
本田靖春[ホンダヤスハル]
1933年、旧朝鮮・京城に生まれる。55年、早稲田大学政経学部新聞学科卒業後、読売新聞社に入社、社会部記者、ニューヨーク特派員などを経て、71年退社。64年には、売血の実態を告発し、現在の100%献血制度のきっかとけなった「黄色い血」キャンペーンを展開する。77年、『誘拐』で文芸春秋読者賞、講談社出版文化賞受賞、84年、『不当逮捕』で講談社ノンフィクション賞受賞。潮賞、大宅壮一ノンフィクション賞の選考委員を務める
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感想・レビュー
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おせきはん
14
社会人登山家の挑戦を扱った『K2に憑かれた男たち』と『栄光の叛逆者』が収録されています。高い山に登ろうとすればするほど社会の階段をずり落ちていきながらも壁に挑む彼らの純粋で強い思いと、それゆえに発生する個性のぶつかり合いによる難しい人間関係が、それぞれの人物に焦点を当てて描かれていました。過酷な自然環境と戦う登山家のストイックさは、まっすぐで羨ましいと思うと同時に想像を絶するものでもありました。登山隊に加われば全員、登頂するものだと思っていましたが、本書を読んで必ずしもそうではないことも知りました。2019/11/12