感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐっちー
12
1930年代初頭、樺太の町で暮らす幼い少女の「人生の川のほとり」を描く美しい物語。短い夏に草花が萌出で、厳しい冬が夜空の星を磨き、紅蓮の炎が山を焼く南樺太の土地で麻子は自然や家族を静かに見つめながら成長する。生と死の不思議が馬などの生き物や自分の肉体の内側に仄暗い光を灯したり、大人たちが何となく隠しているモノの匂いを敏感に感じ、自分の中に還元してゆく。自分の脇を流れてゆく川は、どこに源を発してどの海へ流れつくのかまだ彼女は知らない。連綿と続く川の行先を自らの意志で目指そうと決意する姿は神々しくさえあった。2021/01/31
Gotoran
10
児童文学界の長老の自叙伝的小説を河合著書繋がりで読んだ。1930年代の朔北・極寒の地、樺太、「流れのほとり」の小さな炭鉱の町での、父・母、兄・姉・弟を中心に友達、知合いとの交流が、子供の素直な目線で、四季折々のさりげない生活を織り込みながら(更には動物との触合いも含めて)、情感豊かに描かれている。(家族及び人間)愛、優しさに溢れている。また、表紙、途中に挿入されている絵本画家、瀬川康男氏の繊細な筆致での動物、植物等の写実的な絵が非常に印象的で、本文をうまく引き立てている。掘り出し物、出会えて良かった。2012/06/03
ぶり
0
昔からの大好きな本