福音館創作童話シリーズ<br> 山んばと空とぶ白い馬

福音館創作童話シリーズ
山んばと空とぶ白い馬

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  • サイズ A5判/ページ数 477p
  • 商品コード 9784834004793
  • NDC分類 K913

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

はる

56
黒姫を舞台にした、郷愁を誘う児童ファンタジー。児童文学作家のキリノさんは、黒姫の自然に魅せられ、山の中に小さな小屋を建て、そこで執筆を始める。厳しい自然に苦労しつつ、何とか生活を進めていたが、ある日、人の言葉を話し、空を飛ぶ白い馬と出会う……。環境破壊がテーマ。豊かなはずの山の自然が、人間によって次々と失われてしまう。山に魅せられたはずのキリノさんもその当事者になってしまう現実が悲しい。白い馬やトラマツさんなど登場人物が魅力的で、特に様々な想いに揺れる山んばは強く印象に残る。2023/03/24

ぶんこ

39
黒姫山というとc・w・ニコルさん、そして幻想的な戸隠、スキーで訪れていた山々が舞台とあって惹きつけられました。山での生活は気候や、虫やネズミの出没と厳しい。キリノさんのようにネズミもヒキガエルも怖がらない人でないと。自然とともに数日間都会の喧騒から逃れる場としての山小屋を建てることによって壊されていく自然。切り倒される木、寝床をうしなう鳥や動物。空を翔ける白い馬、山んば、モモッカの登場でファンタジーとなっていますが、人の夢や憧れが引き起こす自然破壊を考えさせられる物語でした。2023/04/09

ちえ

38
読友さんのレビューから。後書きで作者のいぬいとみこさん自身が黒姫山のふもとに山小屋を立て、休みごとにそこで生活をしていると書いている。発行は1976年で話は1960年代後半。読了後に調べると確かに「黒姫駅」はかつて「柏原駅」だった。山の木を伐り、山小屋を立て、道路を付ける、自分自身もそうやって山の自然を壊している一人だと思う主人公のキリノさん。モモッカや山んば、白馬との関わり、山んばの織る布でできた手ぬぐい。山や高原の季節折々の美しく厳しい自然の姿や鳥や木々の言葉たちに引き込まれた。2023/05/20

アオイトリ

19
読メのレビューより)黒姫山の麓に山小屋を立てた作家志望のキリノさん。自然保護の思想を聞く気分じゃないな、と用心して読み始めましたが、いつのまにか親しんでいました。積雪を泳ぐように歩くしんどさ、凍てつく室内で薪ストーブを焚き付けようとはやる心、雪に降り込められると隣家の灯が頼もしいこと。そんな一コマに実感がこもります。山あそびの名人トラマツさんもあたたかい。民話から降りてきたようなモモッカ、山んば、天馬もさりげなく、懐かしい大切なものを思い出させてくれました。ああ、自然に近い暮らしに憧れることよ。2023/04/14

小説大好き

4
小学2年生の9月に読んで以来未だに一番好きな小説です。実在する山岳地方が舞台であり、序盤の山での生活描写は真に迫ったリアリティがあります。そこに山んばや空とぶ白馬といったファンタジックな要素が少しずつ絡んでいき、それに伴い主人公の自然への認識がより深いものへと変質していきます。物語にわざとらしい起伏は一切なく、日常的で細やかな味わいが魅力です。また、人間と自然というありふれた二項対立をさらに掘り下げ、単なる対立構造を超越した重層的な関係性まで踏み込んで描いており、物語の奥行きがより深まっていると感じます。2021/06/21

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