出版社内容情報
敗戦により「日本仏教」像はいかに再構築されたのか。戦後の歴史研究をリードした家永三郎、服部之総等15人の研究者の営みから考察。
オリオン クラウタウ[オリオンクラウタウ]
内容説明
帝国の廃墟の上に再構築される「日本仏教」!敗戦を経験した研究者一五人は「戦後」という新時代において、いかなる日本仏教像を示したか。総合的に考える画期的論文集。
目次
家永三郎―戦後仏教史学の出発点としての否定の論理
服部之総―「生得の因縁」と戦後親鸞論の出発点
井上光貞―焼け跡闇市世代の歴史学
圭室諦成―社会経済史の日本宗教研究
古田紹欽―大拙に近侍した禅学者
中村元―東方人文主義の日本思想史
笠原一男―戦後歴史学と総合的宗教史叙述のはざま
森龍吉―仏教近代化論と真宗思想史研究
柏原祐泉―自律的信仰の系譜をたどって
五来重―仏教民俗学と庶民信仰の探究
吉田久一―近代仏教史研究の開拓と方法
石田瑞麿―日本仏教研究における戒律への視角
二葉憲香―仏教の立場に立つ歴史学
田村芳朗―思想史学と本覚思想研究
黒田俊雄―マルクス主義史学におけるカミの発見
著者等紹介
クラウタウ,オリオン[クラウタウ,オリオン] [Klautau,Orion]
1980年生まれ。専門は宗教史学(近代日本仏教)。東北大学大学院国際文化研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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非実在の構想
2
学者のおかれている環境・思潮とそれに由来する内発性により、対象が歪む。客観性は大事だが、自分の生き方の指針とならない学問の意味とはって思ったり2020/04/06
半木 糺
1
戦後仏教思想史学を形作った15人の学者の思索と叙述を通じて「戦後知」はいかに日本仏教を捉えたかという問いに正面から取り組まんとしている書籍。昨今所謂「学知史」研究が進展しているが、本書もその流れに位置付けられるものである。マルクス主義やそれに基づく歴史観が崩壊し、「近代」という枠組みも自明ではなくなって久しい現在、思想史学や仏教史学のみならず、史学全体が「思想」や「史観」を作り出すことが難しくなってしまっている。本書はそんな現代においていかにして歴史を語りうるか、という問題への真摯な取り組みの一つである。2022/03/28
RKG
0
法蔵館から新たに名著が生まれました。山川出版の「戦後知の可能性」に匹敵する。仏教史というややもするとマイナーに思われ勝ちな分野を熱く論じた先学に対し敬意を払いながらも熱く彼らを批判的に継承しようとする執筆陣。熱い一冊です!2017/01/28