内容説明
オトコが好きな男、オンナになろうとする男、電車に乗れない女の子の物語。ナニカが過剰だとも欠乏しているともいえる20世紀末の高校生の心のうちを描く、トランスセクシュアルな作家のデビュー作。第14回「海燕」新人文学賞受賞作「午後の時間割」を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
里理
2
表題作よりも「午後の時間割」のほうが面白かった。高校を卒業してから、社会人になるまでの期間って、思考がぶっ飛ぶような気がする。モラトリアムになってみたり、やけに騒がしくしてみたり、振り返ってみても、自分自身よく分からない思考行動をしていたな、と思う。その期間のことを読んでいて思い出していた。社会には完全に溶け込めない期間、それをちょっと煩わしく感じたり、弄んだ時間を思い起こさせる。ちょっとだけ郷愁的な想いに浸った。2010/07/13
mutou_tsusato
1
14年振りに再読。高校生のときの課題図書の一冊。再読してみて、性に関する問題というより、「人と違う」ということの問題を扱った物語だと思った。地の文にカッコ表記が多く読みづらい点など、文章としてこなれている感じはなかったが、書かれている言葉そのものが訴えてくるものが大きかった。「人と違うってことは辛いか/つ辛いのか、テシロギ、どれくらい辛い、泣きたいくらい辛いか、それとも死にたいくらいか/でも死ぬなよ/ホモぐらいで死ぬなよ、テシロギ」のやりとりが秀逸。2017/03/19
アト
1
表題作最後の一文にぐっと掴まれた。「午後の時間割」はあっけらかんとした主人公の性格が印象的。2015/12/24
Ren
1
表題作も午後の時間割もすごい面白かったです!ホモだったりおかまだったりパンクだったりする子の青春模様。藤野さんの軽快文学でどうぞ。2013/07/26
マーク
0
90年代の青春という感じで、時代を感じながら読めました。2015/11/29