目次
第1章 日本の伝統と日本の資本主義(日本のこれまでを支えたものは何だったのか;血縁社会と地縁社会;「契約」の社会と、「話し合い」の社会)
第2章 昭和享保と江戸享保(日本をつくった二人の思想家;禅とエコノミック・アニマル;神学と心学)
第3章 現代企業のなかの「藩」(「資本の論理」と「武士の論理」;日本資本主義の美点と欠点;日本資本主義の伝統を失わないために)
著者等紹介
山本七平[ヤマモトシチヘイ]
1921(大正10)年、東京に生まれる。42(昭和17)年、青山学院高等商業学部を卒業。44(昭和19)年太平洋戦争でマニラに上陸。45(昭和20)年フィリピンのカランパン捕虜収容所に将校として収容される。翌年12月31日最後の帰還船で九州、佐世保に到着。戦争中の栄養失調と多くの疾病によって生涯にわたり健康をそこなうことになる。58(昭和33)年、山本書店を創立。山本書店主として主に聖書関係の出版物の刊行を続けるかたわら、評論家としても活動。91(平成3)年永眠(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えちぜんや よーた
71
会社は利益をあげる機能集団であるが、日本人にとっては二義的な意味であり、本義的には働くことそのものが尊く、労働共同体が存在するという考え方。その考え方は江戸時代から存在し、容易には覆されないということか。確かに初版は1979年で40年近く経過しているが「今も大して変わらんな」と思う。もっとも近年ではその考え方は劣化してきて、「会社のためには不正もやむなし」、「とりあえず働いているフリをする」という負の側面が噴出しているように思う。2017/03/19
ころこ
37
『勤勉の哲学』を読む前に、同じテーマの読み易い本を見つけ、読んでみる。昭和54年に出版された新装版で、第1章で日本的な中小、零細企業の文化が半ば肯定されて導入となっている。これらはバブル崩壊と共に否定され、因果関係はともかく日本の経済成長も止まったので、著者の議論の妥当性は推し量ることが難しい。恐らく第2章以降の枕として第1章を置いたのだろうが、読む我々にとっては、かえって混乱を生じさせていて、以降の議論の正統性を揺らがすことになってしまっている。第2章は石田梅岩と鈴木正三の話。読んでて感じるのは、著者は2023/02/09
金吾
17
古い本であるにもかかわらず、今でも適用できる話を多々含んでいます。日本の特殊性の背景は興味深いものがあり、石田梅岩、鈴木正三の話は面白かったです。2024/01/30
isao_key
14
原本は1979年に書かれ、最近、新装版として出版された。ここ数年山本七平を始め、中村天風、安岡正篤、本多静六など、長く絶版になっていたり、再編集して出される本が増えてきている。いずれの本も著者自身の体験に即して書かれていて、頭の中でだけで考えている現代書とは一線を画し迫力が違う。そこが現代の読者にも受け入れられているのだろう。山本七平も長らく日本人とは何者かを研究しており、本書では日本式企業経営について鈴木正三、石田梅岩、上杉鷹山を例に挙げ、本質を問う。読んでみると昔から本質は変わっていないことに気付く。2016/06/29
はまななゆみ
12
明治維新で急速・奇跡的に近代化・資本主義化したと認識していましたが、元々、江戸時代から資本主義の本質的な精神があったとのこと。確かに日本人は勤勉だし、江戸時代はある意味、地方分権で、上手な藩はそれぞれが財を貯めることができたようだし。なるほどって感じでした。2015/10/10