感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぞしま
11
その詩に触れてまず感ずるのは心理描写の繊細さ。それが奇物沈思の妙味と溶けあった時、在りし日の原風景が突如前景化したような豊穣な恍惚の空間が生まれる…そうして詩を終えたときに内奥に残るものは、純化した感情だ。思うに…詩人の中には生来の果てしない女性性が拡がっていたのではないだろうか。彼の筆致とまなざしに潜む両性具有的な資質…それはもしや、詩人が辿らねばならぬ一つの止まれぬ方向性の結露かもしれない、その極北に位置したのがヴェルレーヌだということだろうか…。人生が狂信に満ちるほどその詩は澄んでいったのだろう。2016/09/08