出版社内容情報
「蟻が蟻食いを噛み殺すことはない。しかし、ありえないと思ってあきらめず、それをありうるかもしれないと思わせる激越さが抵抗の思想の原点である」(佐高信)。したたかに、しなやかに抗うふたりの会話から引き出される、先達の爽やかなる抵抗の思想と肖像。
友へ 佐高 信
第1章 抵抗に出逅う
1 佐高信の抵抗的身体
いつのまにかマイノリティに/師・久野収との出逅い/畏怖して敬する
2 田中伸尚の里程標
戦争がもたらす日常の暴力/石川忠雄に学んだプラグマティズム/中国文化大革
命を評価する/織田作之助と大阪
3 「いのちき してます」 松下竜一
模範青年のなりゆき/松下竜一と上野英信/抵抗を、身辺雑記に潜ませて
第2章 あなたは母に背けますか
1 酒田の政商「本間様」
日本のかさぶた/明治維新に揺れた本間家/変わり種本間郡兵衛
2 合祀拒否裁判をめぐって
それぞれの日の丸/同調主義と中谷康子/「合祀はイヤです」/宗教界の右傾化
3 ファシズムはおふくろ連れてやってくる
家族と国家/リベラリストの天皇観/ナショナリズムは開けるか/三島由紀夫と
「愛国心」/戦後レジュームからの脱却/小泉純一郎と小選挙区制/“タカ”箕
輪登のイラク派兵違憲訴訟
第3章 非国民に学ぶ
1 大逆事件
安藤正楽とのっぺらぼうの碑/紀州グループの面々/僧侶・高木顕明の復権/幸
徳秋水と大杉栄/大逆事件に影響を受けた人びと
2 国境を超える不服従
「刺突」拒否/すねかえって兵役拒否
第4章 覚悟して抗う
1 無自覚の幻想と暴力
社会の上に国家があるという錯覚/アメリカは自国兵の死者が三万人を超すと戦
争をやめる/隔世遺伝/だまされることの責任/システム化された貨幣幻想/価
値紊乱/プリンシプルの欠落/自由なき「選択の自由」
2 問われる覚悟の中身
木下順二と「痛恨度」/やりすごしてしまったBC級戦犯/熊本旧制五高の衆/
平和憲法があるからこそできること/道具が国を超えたピンポン外交
魔術師の術中に落ちた快感 田中伸尚
巻末資料
謀叛論──徳冨蘆花
直訴状──田中正造
「日本一の孝行息子」・「非」良心的兵役拒否者に聞く──田中伸尚
「アジアに対する日本の戦争責任を問う民衆法廷」開催へ向けての訴え
「アジアに対する日本の戦争責任を問う民衆法廷」大法廷判決文「結語」
目次
第1章 抵抗に出逅う(佐高信の抵抗的身体;田中伸尚の里程標;「いのちきしてます」松下竜一)
第2章 あなたは母に背けますか(酒田の政商「本間様」;合祀拒否裁判をめぐって;ファシズムはおふくろが連れてやってくる)
第3章 非国民に学ぶ(大逆事件;国境を超える不服従)
第4章 覚悟して抗う(無自覚の幻想と暴力;問われる覚悟の中身)
著者等紹介
田中伸尚[タナカノブマサ]
1941年東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。朝日新聞記者を経て、現在ノンフィクションライター。アジア民衆法廷準備会代表世話人のひとり
佐高信[サタカマコト]
1945年山形県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。高校教師、経済雑誌編集長を経て、現在評論家。『週刊金曜日』発行人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。