内容説明
無の美学から日常の政治性へ。小津は保守的で日本的なのか。だとしても、それはどういう意味でか。映画産業との関係を含め、大不況や戦争、復興など、近代性と葛藤する同時代の日本の歴史的文脈のなか、それとせめぎ合う作品を精緻に読み解き、新たな小津像を提示した国際的力作。
目次
第1章 初期の小津―小市民映画と日常的リアリズム(松竹の誕生―小山内と野村;蒲田調と日常のリアリズム;日本の中産階級と小津の小市民映画;日常における逸脱)
第2章 過渡期における小津―サウンドの到来とファミリー・メロドラマ(小津とトーキー;喜八もの―ノスタルジックな世界への/からの旅;共感における連帯―小津の女性映画)
第3章 戦時期の小津―ブルジョワ・ドラマと国策映画の間で(軍国主義との妥協―大船と小津の戦時期;ブルジョワ婦人と日常のジェンダー・ポリティクス;不在の父と小津のヒューマニズム的戦争ドラマ)
第4章 戦後の小津―占領期の小津映画と復興された東京(戦争、戦後、近代;占領期の小津映画における日常とジェンダー関係;一つの都市の二つの物語―復興された東京と失われた東京)
第5章 晩年の小津―新世代と新サラリーマン映画(新世代;新生活)
著者等紹介
朱宇正[ジュウジョン]
韓国・ソウルに生まれる。2006年ニューヨーク市立大学映画・メディア学科卒業。2012年ウォーリック大学(英国)大学院映画・テレビ学科博士課程修了、Ph.D.。日本学術振興会外国人特別研究員、名古屋大学大学院人文学研究科人文学専攻助教などを経て現在、名古屋大学大学院人文学研究科超域社会文化センター共同研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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