化学がめざすもの

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  • サイズ A5判/ページ数 262p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784814002665
  • NDC分類 430
  • Cコード C1043

出版社内容情報

本書がめざすもの
まえがき

第Ⅰ部 化学の生い立ち
1 化学はなぜ生まれたのか
 a)人間の欲望を満たすために
 b)生きていくうえで必要なもの
2 化学のおもしろさ
 a)知的好奇心の対象としての化学
 b)物質の理解と鍵となる式
3 化学の源流
 a)ギリシャ人の物質観と元素、原子の概念
 b)錬金術と医化学
4 近代化学への道
 a)気体化学の発展
 b)ラヴォアジェによる化学革命
 c)原子説
 d)電池の発明と化学
 e)アヴォガドロの仮説と分子
 f)元素の周期性の発見と周期表
5 生気論から生命の化学へ
 a)有機化学のめざましい発展
 b)炭素の正四面体説と立体化学
 c)有機化合物の物理的な理解
 d)高分子の開発
 e)生命現象を化学で解き明かす
 f)光合成
6 熱の化学から、化学統計学へ
 a)熱と仕事とエントロピー
 b)粒子モデルと統計論
 c)ボルツマン分布
 d)熱力学から物理化学と分析化学が発展した
7 量子論の誕生
 a)古典物理学では説明できない現象
 b)粒子性と波動性
 c)化学結合はなぜできるのか
8 化学反応の探求
 a)化学反応を起こしたい
 b)身近で基本的な化学反応
 c)化学反応の理論的な研究
 d)界面での化学反応
 e)核反応と放射能

COLUMN 1 近代化学の日本への導入と宇田川榕菴
COLUMN 2 近代化学の創始者:ラヴォアジェ
COLUMN 3 近代的な原子説の創始者:ドルトン
COLUMN 4 マイケル・ファラデー
COLUMN 5 メンデレーエフと元素の周期表
COLUMN 6 リービッヒと化学教育の改革
COLUMN 7 ライナス・ポーリングとタンパク質およびDNAの構造
COLUMN 8 ボルツマンと原子・分子の実在性
COLUMN 9 ラングミュアと表面・界面化学の発展
COLUMN 10 マリー・キュリーの栄光と悲劇
COLUMN 11 ラザフォードと放射能の研究

第Ⅱ部 化学のいま
1 現代の化学とはどのようなものなのだろう
 a)自然科学の4 分野の中での化学の位置
 b)現実の「もの」と理論上の「物質」
2 コンピューターを使った理論化学
 a)分子の構造とエネルギーを計算する
 b)分子シミュレーション― 凝縮相についての計算機実験
3 化学の研究は観測から
 a)回折法― 物質の構造とその変化を探る
 b)分子分光― 光を使って物質を解き明かす
 c)磁気共鳴― スピンを使って観測する
 d)顕微鏡― 物質の微細構造を観察する
4 化学における分析
 a)元素

内容説明

私たちの日常は化学でできている。化学を知らなければ、危険だらけ―古代ギリシャに遡る化学の成り立ちから、デジタルテクノロジーとの融合における最新の成果、そして化学がこれからの私たちの生活・環境になにをもたらすのか、深く丁寧に解説。現代社会を生きるうえで知っておくべき英知とリスク。「科目選択」せずに素通りしてしまった人たちに贈る、深く広大な「物質」の世界への道案内。

目次

第1部 化学の生い立ち(化学はなぜ生まれたのか;化学のおもしろさ;化学の源流;近代化学への道;生気論から生命の化学へ;熱の化学から、化学統計学へ;量子論の誕生;化学反応の探究)
第2部 化学のいま(現代の化学とはどのようなものなのだろう;コンピューターを使った理論化学;化学の研究は観測から;化学における分析;化学反応の最先端研究;新しい素材を創る材料化学;有機分子と生命の分子)
第3部 化学の応用と社会(近代文明は物質に支えられている;物質資源の利用とその廃棄;地球環境とエネルギー;健康と医療;これからの化学と社会は)

著者等紹介

馬場正昭[ババマサアキ]
1977年京都大学理学部卒業。1979年京都大学大学院理学研究科修士課程修了。分子科学研究所文部技官、神戸大学理学部助手、京都大学教養部、総合人間学部助教授、京都大学大学院理学研究科教授を歴任した。京都大学名誉教授。京都大学理学博士。専門は物理化学、量子化学、レーザー分子分光学

廣田襄[ヒロタノボル]
1959年京都大学理学部卒業。1963年米国ワシントン大学文理学部大学院博士課程修了、Ph.D.シカゴ大学フェルミ研究所博士研究員、ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校助教授、準教授、教授、京都大学理学部教授を歴任した。京都大学名誉教授。専門は物理化学、とくに電子スピン共鳴によるラジカルと励起三重項状態の研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Mc6ρ助

10
化学を概括しようとする著者の努力は敬服するが、文系の大学生や一般の人々対象の啓蒙書という著者の目論見に反して、アボガドロ数がいくつか言えなくなってしまった元化学技術者が昔を懐かしみながら読むのに最適な(専門的なところも略さず説明している)、ある意味、残念本。資本主義の外部コストの内部コスト化が必要なことに無頓着な経済界の人たちの唱えるSDGsやらを脇に置いても、科学を知れば科学の使い途が明らかになるという楽観論が過ぎると思える。とはいえ、学術界の人たちが基礎科学の重要性を説いていただくのは有難い。2020/06/27

竜王五代の人

2
化学の発展と現在(超電導やカーボンナノチューブなどの新素材や、分子中の原子一つ一つや化学反応の一部始終など)についてはなかなか難しいながらもよくまとまった本。とはいえ第三部の今の化学ができること(環境問題など)については、物質を扱うことが化学だけに話の範囲が広すぎて却って一般論に陥っているきらいがある。また、惑星形成についての妙な記述は、高名な先生でも科学の全てを把握するのは難しいということか、それとも編集者の問題か?2022/01/25

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