内容説明
時は戦中。戦意高揚の国策映画づくりが要求された時代。木下惠介が監督した映画「陸軍」はその役割を果たしていないと当局から睨まれ、次回作の製作を中止にさせられてしまう。夢を失った惠介は辞表を提出。病気で倒れた母・たまが療養している浜松市の気賀に向かう。しかし、戦局は悪化の一途をたどり、浜松も空襲にさらされ、気賀も安心な場所ではなくなるのだった。惠介は病身の母を安全に疎開させる為に、リヤカーに乗せて山越えをすることを決意。兄・敏三と便利屋の青年と三人で暑さや激しい雨にも負けず、60キロの道のりを17時間歩き通す。そして、ようやくたどり着いた疎開先で、たまは不自由な体で惠介に手紙をしたためる。そこには、愛する息子を見守り続けた母の想いが綴られていた―。
著者等紹介
丸尾みほ[マルオミホ]
アニメーションの脚本家。『ドラえもん』でデビュー。最近では、映画『カラフル』など。児童小説も執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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