内容説明
怪異・妖怪文化研究に関する29本の論文を収録。
目次
1 伝統/近世(造形化・図像;怪談・草紙;妖怪論/怨霊をめぐって;妖怪論/日本と海外・天狗と鬼)
2 創造/現代(妖怪近代化の明治;再創造される妖怪;妖怪で町おこし)
著者等紹介
小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年生。国際日本文化研究センター教授。専門は文化人類学・民俗学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
41
妖怪や幽霊について絵草子、浮世絵、巻物、漫画や映画、果てにはライトノベルまで網羅した文化論集。ただし、民俗学者である編者の小松和彦氏はページ数の問題からか、妖怪については暈した様な点があるのが難点。特にアダム・カバット氏による妖怪絵図での表象論は中々、興味深い。そして研究者が京極夏彦氏の姑獲鳥の言及などを取り上げていることにちょっと笑いそうになりました。2014/01/18
かりこ
3
怪異・妖怪にまつわる論文集です。一口に妖怪と言っても、本書に収録された29の論文はそれぞれ扱う分野や論点が様々で、妖怪研究の多様さを実感します。中世の絵巻や説話から現代の漫画・アニメ・ライトノベルまで妖怪に関することは幅広く網羅されているので、自分に合った、興味のある妖怪研究の分野を探すのにちょうど良いと思います。ただこの本を読み終えて思うのは、妖怪という単語の示すものの不明瞭さです。妖怪という定義が明確になされていないため、論者によって妖怪の定義がばらついているような印象をうけました。2013/04/26
in medio tutissimus ibis.
2
妖怪ウィッチの妖怪を何だありゃと思っていたけれど、結構昔の人も好き勝手に妖怪を解釈したりキャラクター化したり設定を盛ったりしているのだなと思った。その辺の事情も『学校の妖怪/妖怪の学校』で引用された『ほうかご百物語』あとがきにあってなるほどなー。設定が意外と緩い。ついでにいえば、妖怪って怪談のオチなので、チだけ移植するのは難しいってこともあるかも。学校妖怪ラノベが題材で『missing』に言及がないのはジャンルがメルヒェンだからかな? 『歴史的産物としての「妖怪」』ウブメとは産女だったというオチがステキ。2016/08/24
ぎんしょう
2
タイトルに偽りなし。絵巻に現れた図像から、現代の大学生が作り出してしまう妖怪的な物まで。『ほうかご百物語』論が個人的に気になった部分が大きいが、作る過程で行ったらしい発表の『我が家のお稲荷さま』論も気になるから、一柳さんはどこかで書いてはくれないだろうか?2011/11/13
大臣ぐサン
1
小松和彦先生を筆頭に妖怪学の最前線を行く者たちによる論文集。民俗学の文脈だけでしか語られなかった妖怪たちも、今では様々な角度から学術的な分析を行われる対象となっている。もう日本文化から妖怪は切っても切れない存在に成長している。2021/04/17