出版社内容情報
二〇〇三年、「日本初のスヌーズレン本」として『スウェーデンのスヌーズレン』(新評論)という本を著した。そのサブタイトルは「世界で活用されている障害者や高齢者のための環境設定法」となっている。版を重ね続けているので、多少なりとも「スヌーズレン」という言葉が日本で市民権を得たと自負しているが、まだまだ一般性をもった言葉にはなっていないと思われるので、第二弾として日本での設置状況を現場スタッフの声とともに紹介することを目的として本書を著すことにした。
一九九〇年代、かつての職場である「マルメ大学総合病院」内のハビリテーリングセンターでもスヌーズレンを設置した。それから約二〇年、世界中で設置されるようになり、日本でもスヌーズレンが普及しはじめている。とはいえ、どこかでスヌーズレンのことを知り、「是非はじめてみたいのだが、講習を受けなければできないのか」とか「利用方法が分からない」といったことが私の耳に入ってくるようにもなっている。
事実、二〇一二年に帰国してから医療福祉コンサルタントとして病院をはじめとしてさまざまな施設で講演を行っているが、このような質問が多かった。そんな疑問にも本書では答えていきたい。逆に言えば、それだけ需要が高まっているということでもある。
スヌーズレンは誰もが活用できる自由なものであり、人間がもつすべての感覚を適度に刺激できる「バリアフリーの部屋」である。そして、あらゆる可能性を醸し出す効果を創造していく環境設定の方法であると考えている。それゆえ、病院や障がい者・高齢者施設だけでなく、市民会館や図書館、そして学校といった所にも設置され、さらに多くの人が利用されるようになることを期待している。(こうもと・よしこ)
【著者紹介】
ストックホルム教育大学卒業後、ルンド大学医学部脳神経科作業療法士学科を卒業。マルメ大学総合病院ハビリーテーリングセンターで作業療法士として勤務したのち、2012年より日本で医療福祉コンサルタントとして活動。
内容説明
発達障がい者や身体障がい者、そして高齢者を対象にした施設に、日本にも続々と設置されはじめている。カラー写真で様々なスヌーズレンを紹介!
目次
第1章 スヌーズレンの歴史的背景(スヌーズレンの歴史;スヌーズレンの基本理念 ほか)
第2章 環境セッティングされたスヌーズレン(環境セッティングされた空間;主なスヌーズレン ほか)
第3章 日本にあるスヌーズレン(社会福祉法人足利むつみ会;社会福祉法人閑谷福祉会 ほか)
第4章 スヌーズレンを実体験―さまざまなゲームと利用者の声(社会福祉法人まほろば学園;感覚遊び ほか)
著者等紹介
河本佳子[コウモトヨシコ]
1950年、岡山市生まれ。1970年、岡山県立短期大学保育科を卒業と同時にスウェーデンに移住。1974年、ストックホルム教育大学幼児教育科卒業。以後、マルメで障害児教育に携わる。1992年、ルンド大学医学部脳神経科作業療法学科卒業。その他、同大学でドラマ教育学、心理学の基本単位修得。1999年、スコーネ地方自治体より25年間勤続功労賞を授与。マルメ大学総合病院ハビリテーリングセンターで作業療法士として2012年2月まで勤務。現在、医療福祉コンサルタントとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Hiroyuki Asano
たこぶね