出版社内容情報
小谷野敦[コヤノアツシ]
内容説明
明治から昭和敗戦後に生きた歌舞伎役者・七代目松本幸四郎。團十郎不在の時代に、劇壇・文壇と交流し、「藝」を守った名優である。その裏の顔は、妻に次々と先立たれながらも三人の子を名高い歌舞伎役者に育てあげたひとりの男だった。その知られざる生涯をたどる本邦初の伝記小説。
目次
第1章 東京育ち
第2章 染五郎
第3章 高麗蔵
第4章 帝劇
第5章 震災
第6章 三人の子
著者等紹介
小谷野敦[コヤノアツシ]
1962年茨城県生まれ。東京大学文学部英文科卒。同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士。大阪大学助教授、東大非常勤講師などを経て、作家・比較文学者。2002年に『聖母のいない国』でサントリー学芸賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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軍縮地球市民shinshin
9
七代目松本幸四郎の伝記小説。小説というより詳細な年表を作成してそれに若干肉をつけたという感じか。史伝といったほうがしっくりくる。4年前に出た本だが、たぶん古書で買っておいてずっと積ん読だったもの。 七代目幸四郎は弁慶が得意で生涯で1600回も演じたという。2020/12/15
hasegawa noboru
0
玄人受けする劇評家渡辺保は当代吉右衛門をおおいに褒めるのに比して、その兄九代目幸四郎の芸にはずいぶん手厳しいと思ったことがあるが、この本の祖父七代目の頃からの傾向なのか。渡辺は、リアルとリアリズムは違うとどこかで言っていたようだが、九代目團十郎の衣鉢を継いだともいえる「活歴」臭が七代目幸四郎批判の言葉として終生つきまとったという。 *校正ミス・P.161L.1「田中が帰ってきて」→「齋藤が」・P.170「三代目猿之助」は「この猿之助の曾孫である」→「孫」・P.350L.1「十二代團十郎」→「十一代」 2016/09/05