出版社内容情報
世界を駆け巡った文化人類学者が、再度「異郷」を求めて彷徨し、遭遇する事物への人類学者ならではの視座が際立つ出色の紀行文。
内容説明
ニューギニアにはじまり、キューバ、中国、バリ、ソマリア、そして三鷹…その場所で生活する人々の息づかいが、流れゆく悠久の時間をも感じさせ、あたかもその場にいるかのように、われわれを異郷へと誘う。日本を代表する文化人類学者が、情感溢れるエピソードと写真で綴る13編の異郷案内。
目次
ニューギニア高地の祭り
キューバでの二日間
ザンジバルで話をする
中国で海の女神に会う
バリ島、ウブドにて
マレーシアへの旅
ポンディシェリーに
サンピエール・エ・ミクロン
岩の上のフルート吹き
オレゴン州ポートランド
マヌス島を訪ねる
ソマリアへ
三鷹“蝦蟇屋敷”界隈
著者等紹介
西江雅之[ニシエマサユキ]
1937年東京生まれ。専門は言語学・文化人類学。早稲田大学政経学部卒、同大学文学部英文科卒、同大学大学院芸術学修士課程修了。フルブライト奨学生としてカリフォルニア大学(U.C.L.A)大学院で学ぶ。東京外国語大学、早稲田大学、東京芸術大学などで教壇にたつ。23歳で日本初のスワヒリ語の文法を発表。アフリカ諸語、ビジン・クレオール語の先駆的研究をなした(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Tatsuhito Matsuzaki
4
アフリカ諸語やピジン・クレオール語研究の先駆者であり、日本初のスワヒリ語専門家でもあった 故 西江雅之氏の旅行記。 ニューギニア髙地やザンジバル、ポンディシェリーにマヌス島…etc. 滞在先での風物や出会った人々の記述は勿論ですが、突然入る過去の旅の回想など、12年以上前の出版書&掲載写真は全てモノクロにもかかわらず、色彩や騒音&匂いまで感じられる一冊です。 なお、個人的には最終記の #三鷹蝦蟇屋敷界隈 がベストでした。 #パプアニューギニア #キューバ #バリ島 #サンピエールエミクロン2020/07/26
渡邊利道
4
何気なく手にとってひさしぶりに再読。人生の折々におとずれた土地と人の記憶を、物語と歴史を不思議な交錯する時間感覚で織り上げたエッセイ集。2000根大半ばの連載だが無時間的な現在だけが流れる。文中で「伝統とは未来だ」という認識が語られているのに虚を突かれる思いがした。2020/02/25
三上 直樹
4
西江先生が、世界のさまざまな場所と高名な学者・文学者から飲み屋の主人まで思い出の人との記憶の間を旅した日記。 東浩紀『弱いつながり』を読んだところでしたが、旅をして偶然出会った人から学ぶことをずっとされてこられた先生に、改めて教えていただいた思いです。2015/06/23
渡邊利道
1
「ユリイカ」に連載した、旅の思い出を書いたエッセイ集。透明感があり、猥雑で厳しくユーモラスな、と撞着的表現がよく似合う文章で、とにかく面白い。歴史と現在が混淆する世界のさまざまな土地への旅。ラストが自分が住む土地で、そこで知り合った人のほとんど空白のような死で終わる。この残酷さ。2017/11/15
dumpty
0
TVのドキュメンタリー番組で拝見した時から感じるものがあった。それぞれの異郷をもっとじっくり感じたかった。2011/06/24