内容説明
わが国を代表する精神科医が、重大犯罪の責任能力鑑定例を詳細に紹介、現代社会にひそむ精神変容のドラマを明るみに出すとともに、日本やギシリアの神話に遡って人間精神に共通する狂気のかたちを析出する。
目次
同胞相剋と殺人―カイン・コンプレクス
愛と死と「聖なるもの」―快楽殺人
デルポイの濛気―気体吸引による酩酊と忘我
強姦犯の行動学―狐拳の三角形
隠遁の生理と精神病理
イスラーム教徒の精神障害―邪視と邪鬼
誘発性精神病性障害と「妹の力」
佯狂・詐病・疾病隠匿―分裂病者も分裂病を詐病する
嘔吐の人間学と心身医学―「嘔吐者」ニーチェとサルトル
「妄想先行の法則」とテレビ心性
理工系技術者の精神病理と犯罪―「反相対性原理殺人事件」と「挫折したハッカー」
殺人のパレオサイコロジー
異文化葛藤犯罪の今昔
世界麻薬戦争
宗教精神病理の現在
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺
3
・1994年刊。まず読むことはないと思うけど、気の弱い人は止めた方がいいような狂気の犯罪事件ばかりが載っている。 ・小田晋は古典に通じ、そこへ病跡学を適用するという手法を用いている。病跡学のぜひはともかく、精神科医が古典を読むことには好感を覚える。ただ妊婦の腹を割いたのは武烈だけで雄略はやっていない。・ともかく著者の博識には驚く。これが読まれる理由だろうか。 ・有馬皇子まで登場。詐病、確かに。しかし失敗した。時代は下るが、白壁皇子は成功し、光仁天皇として即位した。⇒続く2020/12/18