内容説明
人間には、生きることの苦や死の不安が、つねにつきまとう。豊穣と不死は、いついかなるところにあっても、人類の切ない願望であった。その、永遠に満たされることのない悲願が、わが国では、どのように神話や儀礼のなかに表現されてきたのだろう。その系譜を縄文の宗教から現代の民俗にまでたどり、神話の意味と儀礼の本質を解き明かす。
目次
第1部 豊穣の神話および儀礼(豊穣女神としての山姥と縄文土器および土偶;豊穣儀礼としての新嘗祭と神道;日本神話の中の稲作と焼畑)
第2部 神話伝説と儀礼にみる不死への願い(田道間守と時じくの香の木の実;すばる星の連続と不死の神話;メラネシアの男性同性愛儀礼とわが国の縄文石棒およびナマハゲ的行事;儀礼論の流れ―フレーザー、マリノウスキーからレヴィ・ストロースへ)