内容説明
寄る辺なき自我が「神」を捏造する。オカルト、自己啓発セミナー、ニューエイジ、自分さがし―。あらゆる結びつきが失われゆく現代ニッポンの深層を浮き彫りにし、新世紀を展望する気鋭の論客の最新力作評論集。
目次
1 自由の臨界(悪徳の栄え;ダイアナ・破鏡の形算 ほか)
2 コミュ破鏡の決算の戦い(洗脳化ラジオ;対談 素晴らしい新世界・スウェーデン王国の憂鬱(八木秀次;宮崎哲弥) ほか)
3 カルトなニッポン(マインドビジネス大流行!;輪廻転生の転生 ほか)
4 神なき時代に信仰を問う(対談 宗教学・日本近代にとって宗教とは何だったか(島田裕巳;宮崎哲弥)
対談 キリスト教・人倫を破る垂直の力(富岡幸一郎;宮崎哲弥) ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がま
1
1996-97年の間の論考であり、酒鬼薔薇事件やオウム事件についての評論が多い。が、一番の読みどころは4章、宗教学者たちとの対談とラディカル・ブディズム宣言だろう。宮崎は大乗仏教中観派の「空」の思想を大悟することで死の恐怖を脱したという。龍樹の「中論」の哲学、その徹底した言語批判による「私」の非在性の論理は彼の思想の中核である。2015/01/08
遠山太郎
0
宮崎さんお堅いのねと刊行から10年後の<私>は軽薄になってしまった。「媛交・オヤジ狩りは無倫理で同根」「子どもの実存すべてを抱きとめるような力量は持ち得なかった。」「個は自分自身のために存在しているのではのだ。誰からが必ず自分を必要としている。そうした思いだけが個を支える事が出来る」「良い子であることと善く生きることはまったく異なる」「近隣とコミュニケーションが断たれた家族はひたすら内閉し、密室化してしまう。コミュニティが関心配慮ケア避難保護説得勧告」「国家というリヴァイアサン・市場というビヒーモス」(12011/05/03
AK
0
仏教の入門書として。2010/09/01
じょに
0
昔読んだのを引っぱり出して。宮崎のラディカルブッディズムには結構共鳴してしまうのよね。2009/07/07