出版社内容情報
サイボーグや人工知能のように、ポスト・ヒューマンともいうべき事象が噴出する現在、電子テクノロジーにとって私たちの身体はどのような意味をもつのか、そうした身体の意味に対応する倫理思想をどう立ち上げるべきかを思索する理論研究の成果。
序
第1部 サイバー・カルチャーへの誘い
第1章 ヴァーチャル・ワールドのジェンダーとセクシュアリティ――その両義性
1 ヴァーチャル・ワールドのジェンダー・スイッチング
2 ヴァーチャル・ワールドのセクシュアリティ
3 一元化する自己
4 日本のヴァーチャル・ワールドの現状をめぐって
5 セクシュアリティ再考
第2章 MMORPGにおけるジェンダー・スイッチングに関する一考察
1 研究の目的
2 調査内容と結果
3 結果の考察
資料
第3章 コンピュータを介したコミュニケーションの倫理学的検討
1 テキストをベースとしたコミュニケーションがうむ共感
2 ビデオゲームにおけるシミュレーションと同一化の考察
第2部 サイバー・カルチャーにおける自己と身体をめぐる考察
第4章 情報社会における自己の多元化――その倫理的可能性を考える
1 デネットの自己の分析とその検討
2 インターネット時代の自己像
3 多元化する自己の倫理的可能性
第5章 サイバー・スペースの自己と身体に関する考察
1 サイバー・スペースのなかの自己の誕生と身体
2 ゲームプレイにおける身体経験に関する考察
第6章 サイバー・カルチャーにおける〈身体論的〉転回
1 初期のサイバー・カルチャーと現在のサイバー・カルチャー
2 サイバー・カルチャー研究の新たな動向
3 新たな〈身体〉経験がもたらすもの――身体の枠組みの再構築
第3部 これからのサイバー・カルチャー研究に向けて
第7章 生成としてのサイボーグに関する一考察
1 ティラドーの議論
2 「逃走線」とは何か
3 なぜ「機械」なのか
第8章 〈サイボーグ〉という経験を捉える視座とはどのようなものか
1 科学はどのように捉えられるのか
2 社会構築主義・再考
3 科学・芸術・哲学
第9章 覆い隠された〈身体〉経験の顕在化に向けて――サイバー・カルチャー研究の方法
1 ニュー・メディア・スタディーズのアプローチとしての現象学的方法
2 パフォーマンス研究との共通点
引用・参考文献など一覧
あとがき
根村 直美[ネムラ ナオミ]
1964年、岐阜県生まれ。日本大学経済学部教授。専攻は倫理学、現代思想。著書に『現代倫理学の挑戦』(学術出版会)、共編著に『健康とジェンダー』シリーズ(明石書店)、共著に『概説 現代の哲学・思想』(ミネルヴァ書房)、論文に、「『イノセンス』に見るポスト・ヒューマニズムと〈身体〉の構築主義」(「社会情報学」第5巻第1号)、“A Study of Change of the Body View in Cyberculture”(Journal of Socio-Informatics, Vol.7, No.1)など。
内容説明
サイボーグや人工知能のように電子テクノロジーが日常化する現在、それらに支えられたサイバー・カルチャーのなかで私たちの身体はどのような意味をもつのか、それに対応する倫理をどう立ち上げるべきかを哲学・現代思想やメディア論から思索する。
目次
第1部 サイバー・カルチャーへの誘い(ヴァーチャル・ワールドのジェンダーとセクシュアリティ―その両義性;MMORPGにおけるジェンダー・スイッチングに関する一考察;コンピュータを介したコミュニケーションの倫理学的検討)
第2部 サイバー・カルチャーにおける自己と身体をめぐる考察(情報社会における自己の多元化―その倫理的可能性を考える;サイバー・スペースの自己と身体に関する考察;サイバー・カルチャーにおける“身体論的”転回)
第3部 これからのサイバー・カルチャー研究に向けて(生成としてのサイボーグに関する一考察;“サイボーグ”という経験を捉える視座とはどのようなものか;覆い隠された“身体”経験の顕在化に向けて―サイバー・カルチャー研究の方法)
著者等紹介
根村直美[ネムラナオミ]
1964年、岐阜県生まれ。日本大学経済学部教授。専攻は倫理学、現代思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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