出版社内容情報
「感情教育」とはフロベールの小説のタイトル。近年、この言葉は文芸だけでなく、
臨床、教育、発達など諸分野で用いられるようになったが、フロベールの小説同様、
難解かつアンビバレントなコンセプトである。「感情教育」は、人間が踏み込んで
はならない禁断の領域であり、それ故にこそ我々を惹きつけるのかもしれない。
【主要目次】
・座談会／感情教育のニュアンス－その光と影
（白井利明／松本由紀子／大渕憲一）
■臨床
・正感情を育成し、心身の健康を促進する「自己推進型健康教育プログラム」への道程 （山崎勝之）
・大学でのサポート受容を目的とした感情表出と健康教育 （内田香奈子）
・思春期における対人関係感情コントロール－視点取得能力と共感性の発達の観点から （桾本知子）
・看護師における慢性的ネガティブ感情の軽減に向けて （佐々木恵／北岡（東口）和代）
・臨床的感性－本当のやさしさと思いやり （渥美絵美）
■教育
・社会性と感情の学習 （小泉令三）
・けなげさの記憶－一九五〇年代の「感情と教育」 （北田耕也）
・感情教育についての思想 （坂元忠芳）
・「新しい荒れ・学級崩壊」現象に見られる子どもの情動の機能性・合理性と教育への問い （富田充保）
■発達・人格
・青年期の葛藤と自我の回復力－歴史のなかでともに生きること （白井利明）
・若者の「悲しみ」と教育 （速水敏彦）
・発生的視点からみた情動と認知の関係－アンリ・ワロンの発達思想を手がかりに考える（加藤義信）
・子ども・若者の身体と情動・感情 （間宮正幸）
・持つものと持たざるもの－「人間的感情」と差別意識 （田村 達／大渕憲一）
■文学・芸術
・フランス文学における感情教育 （齊藤征雄）
・感情、教育、美術－美術史家の一考察 （石鍋真澄）
・宗教体験と感情教育 （斎藤 喬）
・食卓の教育－倫理的トーストから隠密シェフへ （松本由紀子）
