内容説明
反アカデミズムに徹し、時代の一歩先を黙々と走り続けた孤独と諧謔、神秘の作曲家エリック・サティの本邦初の選詩集。
目次
スポーツと嬉遊曲
一世紀毎と瞬時の時間
大きな木の男のスケッチと誘惑する目付き
ひからびた胎児
子供のピアノ曲
三つの愛の歌
自動記述
官僚的なソナチネ
あらゆる方向に向けられた数章
最後から二番目の思想
気むずかしくて気取った三つの上品なワルツ
古い金貨と古い鎧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
むーん
9
本の名前は詩集だが、サティの詩というより、楽譜にある指示とかを集めたものらしい。だけど、演奏者にしてみれば、楽譜にこんなものがついててもどうしようもないだろうという感じがなんとも笑。詩として読めば、よく分からないものもあるが、全体的に茶目っ気たっぷりで軽快な詩が多い。ただ、あくまで音楽なのだから、言葉と同時に曲を聴かなければきちんと感じとれないのでは、とは思う。まあ面倒なんでそこまでする気にはならないけど笑2015/07/28
王天上
6
彼の書いた文章がもっと読みたいな。とても自由な感性を感じた。というより自分の法則に素直に従っているだけなのかな。2013/04/03
Cell 44
0
「たとえば「心は柳のように泣いている」、けど精霊の風が出てくるあたりを読むと、ぼくは芭蕉の「田一枚植えて立ち去る柳かな」の遊行柳にまつわる精霊のことを思ってしまうのだ。あの句は、芭蕉が立ち去るのではなく、田植えの早乙女が立ち去るのでもない。柳の精霊が消えて去って行く、という平井照敏さんの話を思い出してしまったのである。(中略)いずれにせよ、読者のみなさんが好きに読めばよいだろう」(129頁)諧謔の効いた、果物か月の欠片のような詩篇。楽譜の上に散りばめられた、ささやかな言葉の宝石でもある。2013/09/07
星規夫
0
サティの変人っぷりが光る。2012/08/19