内容説明
心も経済も「ほどほど」がいちばん。悩める若者たち、無縁社会、日本経済のゆくえ、3.11と原発…。これからの社会のあり方をめぐる、精神科医と経済学者の対話。
目次
1 「豊かな社会」のなかで悩む若者たち(「生きる」ことのハードルの高さ;自分を受け入れてほしい;「ふつうの子」が起こす重大犯罪;若者はなぜ怒らなくなったか;ほどほどに豊かな社会へ)
2 無縁社会のなかの家族、高齢者、女性(「無縁社会」の背景;「孤独死」は悲惨?;子育てに悩む母親たち;ジェンダーをめぐって)
3 日本の教育をどうするか(教育格差を考える;学校のなかの緊張感;大学はなにを学ぶところ?;「よき企業人」を養成するべき?)
4 人はなぜ働くのか(日本の貧困問題;食べるため?認められるため?;ベーシック・インカムは実現可能か?;喜び?それとも苦痛?;日本社会のゆくえ)
著者等紹介
香山リカ[カヤマリカ]
1960年北海道生まれ。東京医科大学卒業。精神科医、立教大学現代心理学部教授
橘木俊詔[タチバナキトシアキ]
1943年兵庫県生まれ。小樽商科大学商学部卒業、ジョンズ・ホプキンス大学大学院博士課程修了。京都大学大学院経済学研究科教授を経て、同志社大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
2
お二人の大学教授の対談。香山教授の「軍隊に入るくらいなら死んだほうがいい」(13ページ)とは、今後新政権で国防軍と演習を、とか、福一原発で収束活動を、という赤紙が想定されて恐怖を覚える。橘木教授は、霞ヶ関で若者が仕事よこせマーチを、とある(34ページ)。デモは原発再稼働反対が定番となったが、今後は憲法改正についての問題が出てくる。その前に消費増税8%の判断もある。無縁社会も書いてあり、人間の尊厳が改めてシビアに問われていること思った。学歴信仰のわりにオーヴァードクター無職問題を取り上げないのは解せない。2012/12/26
うさうさ
2
精神科医の香山さんと、経済学者の橘木さんとの対談。生きづらさ、無縁社会人、孤独死、教育、なぜ働くのか、などについて意見を交わしている。違う立場の方同士だからこそ、視点に広がりが出て興味深い内容になっている。2012/03/21
Üchü
1
これからの日本は「ほどほどに豊かな社会」=「経済合理主義を捨て、1~2%の成長でよしとする社会」を目指すべき――全体的に述べられている主張自体は妥当なものだろうと思う。だが、寧ろここでの課題は、「ほどほどに豊かな社会」へ至るまでのプロセスにあるのではないか。例えば、脱原発を巡る論争は、原発依存からの脱却によって「ほどほどに~」の実現を目指す反面で、そこまでの道程が急勾配になりすぎやしないだろうかという懸念もあるのでは。われわれは如何にして緩やかな曲線を描きながら「ほどほど」に着地していくべきなのだろうか。2013/07/04
小春日和1625
1
十分豊かな生活を送ることができるのに、もっと便利にもっと速く!を追及している今の日本。物質的な豊かさを追及する方が、気持ちの豊かさを求めるより楽からかもしれないなぁ、とこの頃思う。気持ちの豊かさを求めるには、自分と向き合う必要があるから。わたしもだけど、日本人はもっと考える方がいいよね。2012/04/13
つがしゅん
1
タイトル通り、日本は再び経済成長を目指すのでなく、「ほどほどに豊かな」国であればいいじゃないかという本。経済成長しなくても、アジア諸国にGDPを抜かれても、そこそこの豊かさを一度達成したのだから、それでいいらしい。日本の将来はどうにかなるだろうという、あまりに楽観的な主張が気になった。下ばかり見すぎていて頼りないが、こういう考え方もあるのか、という意味で参考になった。2012/01/26