出版社内容情報
ただ生存することが生きる目的となるような
異常事態を強制されたら、
他者との関係をどのように築けるか、
どこまで人間でいられるか。
言いたいことを言ったら生きていけない時代、
正しい情報が入ってこない時代、
大義がまかり通っていた時代
―国家や権力を、あなたならどう見抜き、どう行動しただろう。
兄が太平洋戦争時西部ニューギニアで戦死し、自身は戦後、
病床生活を経て最低学歴で働きながら独学で表現活動に
従事した著者(89歳)が、
戦争のディテールを追体験する文学を案内し、
戦時下の心のありようや変化、人間性の哲学を問う。
心に深く突き刺さるような美しく強い文章で
戦争をリアルに想像し、思索する本。
◆戦争と少年
――妹尾河童『少年H』
◆少年たちの心の闇
――学童疎開の文学
◆極限の中の人間
――大岡昇平・尾川正二
◆戦場における兵士の感情
――石川達三『生きている兵隊』
◆軍部告発の文学
――五味川純平・高木俊朗
◆輸送兵(*正式には輜重輸卒)の眼
――水上勉『日本の戦争』
◆芸能人の戦中日記
――徳川夢声と古川ロッパ
◆単独者の思想
――石原吉郎とシベリア抑留
◆キリスト者の抵抗と転向
――イシガオサム『神の平和』
◆今も続く鎖国思想
――鶴見俊輔『昭和期の精神史』と
一貫した転向研究
新藤 謙[シンドウ ケン]
しんどう・けん
昭和2(1927)年、千葉県生まれ、福島県いわき市在住。
文筆家。高等小学校卒業(15歳)後すぐ働き始め、18歳で敗戦、
5年の病床生活を経て最低学歴にて独学で表現活動にたずさわる。
著書多数。
主著:『サザエさんとその時代』
『美空ひばりとニッポン人 』(ともに晩聲社)、
『石牟礼道子の形成』(深夜叢書社)、
『ぼくは悪人―少年鶴見俊輔』『木下順二の世界』
(ともに東方出版)、
『国家に抗した人びと』(子どもの未来社)、
『保守の思想―昭和史・幻想と現実』(田畑書店)他。
内容説明
戦争が起きるって、こういうことだったのか!その現実を知る者にしか語れない、胸に突き刺さるような批評。戦争のリアルを追体験する文学を案内し、戦時下の人間性の哲学を問う。
目次
第1章 戦争と少年―妹尾河童『少年H』をめぐって
第2章 少年たちの心の闇―学童疎開の文学
第3章 極限の中の人間―大岡昇平
第4章 戦場における兵士の心理―石川達三『生きている兵隊』について
第5章 軍部告発の文学―五味川純平・高木俊朗
第6章 輸送兵の眼―水上勉『日本の戦争』を読む
第7章 芸能人の戦中日記―徳川夢声と古川ロッパ
第8章 単独者の思想―石原吉郎と強制収容所
第9章 キリスト者の抵抗と転向―イシガオサム『神の平和』
第10章 今も続く日本の鎖国性―鶴見俊輔『戦時期日本の精神史』
著者等紹介
新藤謙[シンドウケン]
昭和2(1927)年、千葉県生まれ。文筆家。高等小学校卒業(15歳)後すぐ働き始め、18歳で敗戦、5年の病床生活を経て最低学歴にて独学で表現活動にたずさわる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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