内容説明
万葉集の時代に行われていた「歌垣」は、じつは昭和まで続けられていた。今なお「歌垣」の名残りを伝える奄美の「八月踊り」。また「花一匁」は「歌垣」を子供たちの遊びに仕立てなおしたものである。
目次
第1章 「ヨサコイ節(夜さ来い節)」(純信とお馬の「坊さん簪買うを見た」;各地へ広まった「ヨサコイ節」;私の想像ばなし―「ヨサコイ節」は薩摩の「歌垣」か ほか)
第2章 「おばこ節」(「歌垣」用の「庄内おばこ」―山形県庄内地方以南の「おばこ節」;「東おばこ」こと「昔おばこ」;「米沢おばこ」 ほか)
第3章 喜界島の「八月踊り」(喜界島の「八月踊り」見物;坂嶺の「八月踊り」;志戸桶の「搗き揚げ」 ほか)
著者等紹介
竹内勉[タケウチツトム]
1937(昭和12)年東京生まれ。民謡の守門者、評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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邑尾端子
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全国のお祭りなどで歌われるヨサコイ節やおばこ節など、少し不思議な歌詞が多いがその意味とは。筆者は民俗学の見地からこれらの民謡の起源が、かつての日本(古代~明治初期)において行われていた歌垣にあるとする。歌垣とは、未婚の男女がお互いの体を賭けて歌の勝負をして相手との逢瀬を遂げるという、当時の民衆の出逢いの場である。すなわち「ヨサコイ」という掛け声は「夜さ来い」、「おばこ」という掛け声は「おぼこ(処女)!(ヘイそこの若いねーちゃん!)」であったという。全国各地の歌詞を収集して比較検討した膨大な記録が面白い。2014/06/18