内容説明
角野伊右衛門は倅の忠助に家督を譲り、半年前に南町奉行所の臨時廻り同心を退いたばかりの新米ご隠居。だが、現役のころの癖が抜けない伊右衛門は、隠居の身であることも忘れてついつい探索に乗り出してしまい、周囲をやきもきさせる困り者でもあった。そんなおり、両国西詰の広小路で夜な夜な犬神が現われて暴れているという噂が広まった。顔は人間で髪を振り乱し、胴体は狼。たんなる噂ではなく、実際に本所の大工が襲われて怪我をしたという。あやかしのたぐいを一切信じない伊右衛門は、事件が人のつくりごとであると見抜き動き出すのだが…。探索の末に伊右衛門が暴く、思いもかけない事件の真相とは?気鋭が贈る新シリーズ登場。
著者等紹介
楠木誠一郎[クスノキセイイチロウ]
1960年、福岡県生まれ。日本大学法学部卒業後、歴史雑誌の編集者を経て、96年『十二階の柩』で作家デビュー。99年『名探偵夏目漱石の事件簿』で第八回日本文芸家クラブ大賞を受賞。数々の歴史ミステリーや、歴史ノンフィクション、人物評伝、児童書のジャンルで活躍するほか、気鋭の時代小説作家として注目を集めている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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