内容説明
駿河療養所の西村さんの真骨頂は、「らい予防法」廃止の時に発揮された。「らい予防法」の廃止と引き換えに、国が犯した過去の犯罪を闇に葬ろうとした厚生労働省に対し、「新しい法律ができても、過去の我々が受けた苛酷な状態の損失の補償というものは留保させていただきたい」と言い放ったのだ。本書は、このように差別偏見と闘い抜いた「元患者」の貴重な自分史である。
目次
第1部 私の自叙伝(青少年時代の軌跡;辛酸の療養生活と売店委託業務 ほか)
第2部 裁判和解までの闘い(「ハンセン訴訟」への全療協の対応;ハンセン病謝罪国賠裁判―傍聴と報告集会に参加して ほか)
第3部 中国ハンセン病回復者との交流(第五回国際尊厳の日の集いに参加して;中国・雲南省のハンセン病回復者村と療養所を訪問して)
第4部 講演会の記録(隔離から共生へ;静岡県東部保育士協会睦会講演 ほか)
著者等紹介
西村時夫[ニシムラトキオ]
本名・西田博司。昭和17年9月18日名古屋市に生まれ。昭和31年、国立名古屋病院にて、ハンセン病と診断。国立駿河療養所に入所。昭和33年、岡山県立邑久高校新良田教室に4期生として入学。昼間4年制を37年に卒業。昭和40年12月社会復帰して、セールスの仕事に就くが、過労が原因でハンセン病を再発させる。昭和45年より入所者自治会の評議員、中央委員、運営委員長、副会長を平成9年11月まで31年間務める。平成9年12月駿河入所者自治会会長および全療協駿河支部長として積極的に啓発講演活動を行なう。平成12年2月ハンセン病国賠裁判東日本訴訟原告となる。駿河原告団団長として活動する。社会福祉法人ふれあい協会委嘱啓発活動推進委員。平成15年4月全療協常勤中執として16年1月まで活動する。平成15年5月全国ハンセン病入所者協議会非常任中央執行委員として、社会復帰者問題で厚生労働省協議委員。平成16年10月2日肺がんのため、国立駿河療養所にて家族友人にみとられて逝去。享年62
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