出版社内容情報
古書蒐集に神保町などをめぐる著者は、まさに大きなクワガタでも捕らえようとしている少年のようである。古書店へでかける日は心踊って、愉しくてしょうがないのだ。
本書はそんな著者が、こつこつと書きためた日誌形式の蒐書記録である。
しかし、ただの日記ではなく、一研究者としての文学評論も読みごたえがある。
一巻には1985~1995年分を、二巻には1995~1998年分を収める。
現在も蒐書は進行中であり、続刊もご期待いただきたい。
一九八五年~一九八九年
一九八九年~一九九二年
一九九二年~一九九三年
一九九三年~一九九四年
一九九四年~一九九五年
初出一覧
索引
私にはできる限り初出で読みたいという思いがある。
臨場感を味わいたいからだ。(オビより)
某月某日
高円寺、古書展。黒っぽい本の収穫はなく、白っぽい本、三冊ばかり購っただけ。何となく物足りなくて、昨日すでに見た、神田の古書展に出向いてみる。
某月某日
五反田古書展。またまた脈絡もない購い方。「新詩人」第三五輯、昭和二三年一二月号。五百円。
某月某日
神田、城南展。落ちているか、いないか、多少の不安を抱いてでかける。会場で無事に手にはいったことを知る。未来工房版の野坂昭如『火垂るの墓』(昭56・5・20)、二万円。
某月某日
高円寺展。九時半着。開場前の平台を見る。「三田文学」、昭和二九年五月号、加藤道夫追悼特集。百円。 (本文より)
内容説明
私にはできる限り初出で読みたいという思いがある。臨場感を味わいたいからだ。―ある研究者執念の古本屋めぐり。一九八五年~一九九五年。
著者等紹介
大屋幸世[オオヤユキヨ]
1942年生まれ。鶴見大学文学部教授。日本近代文学専攻。森鴎外を研究
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