出版社内容情報
ハイチ・クレオール文芸の幕開けを飾る小説「デザフ
ィ」の著者フランケチエンヌ。彼は、詩人・画家・劇
作家としても多彩な活動を続けている。1957年から86
年にかけての30年に及ぶ、デュバリエ父子独裁政権時
代、知識人たちのが相次いで亡命を選択するなかで、
彼は首都ポルトプランスにとどまり、民衆の表現の手
段とその内容が合致するクレオール語を駆使して作品
を創造し続けてきた。それは、国家・文化・言語・歴
史などに象徴される既成の制度に対するフランケチエ
ンヌの挑戦であった。
本来、口承言語を表わす「クレオール」の概念を超え
て、また単に文化の混交物を示すにとどまらず、さま
ざまな制度によって形作られた文化からの離脱、自ら
の真の文化を獲得するための思想として、いま「クレ
オール」に注目が集まっている。
第一部●フランケチエンヌがやってくる
『クレオール文芸』の《知られざる傑作》
ポルトプランスの《怪人》
花の島マルティニックにて
第二部●フランケチエンヌの世界詩人/小説家/劇作 家・俳優/画家
付録●東京公演台本『《フキフラ》あるいは鏡の中声』
◆口絵カラー3点/本文挿画22点
内容説明
ハイチ・クレオール文芸の金字塔『デザフィ』の作者。30年におよぶデュヴァリエ父子独裁時代。亡命せず、クレオール語の劇を書いて果敢な挑戦を試みた。画家でもある彼の絵には、多彩な活動の背後に秘められた複雑な内面が映し出されている。
目次
第1部 フランケチエンヌがやってくる(『クレオール文芸』の『知られざる傑作』;ポトプランスの『怪人』;花の島マルチニックにて)
第2部 フランケチエンヌの世界(資料篇)(詩人;小説家;劇作家・俳優;画家)