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境界性パーソナリティ障害と離人症―その病態と治療

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  • サイズ A5変判/ページ数 183p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784772413220
  • NDC分類 493.76
  • Cコード C3011

出版社内容情報

本書は、境界性パーソナリティ障害と離人症について、著者の長年の臨床経験、さらには著者自身の体験から、病態と治療法を記したものである。

境界性パーソナリティ障害(BPD)は,精神科領域において最も困難な対象として,治療者を悩ませることで知られる。
本書は,著者長年の経験をもとに,臨床現場からフィードバックしたBPD治療のコツを解説したものである。認知行動療法,物語論的アプローチ,問題解決療法,ロールプレイの技法など,最新の治療アプローチを詳述し,さらにBPDに多く見られる,自傷行為,摂食障害,大量服薬,性的乱交などへの対応についても述べている。さらに,治療者-患者関係の暴力や患者の怒りの扱い,転移-逆転移関係,治療抵抗性,など,治療プロセスに生ずるさまざまな問題にもふれている。
後半部においては,BPDとの合併症として多く見られる離人症について,症状論,病型,家族背景,神経心理学的考察を展開し,行動療法,第三世代認知行動療法を中心とした治療アプローチを紹介する。
精神医学・臨床心理学領域において,BPD患者との臨床に真剣に取り組んでいるすべての援助職の人々にとって有用な指針となるであろう。

第?T部 境界性パーソナリティ障害

第1章 境界性パーソナリティ障害について
境界性パーソナリティ障害(BPD)とは
認知神経心理学と脳画像など
境界性パーソナリティ障害の病因論?@
幼児期被虐待をめぐって
境界性パーソナリティ障害の病因論?A
心的状態をめぐって
性差について
自己とは何か

第2章 境界性パーソナリティ障害の治療
本書の治療の名前
治療目標と目標設定
治療目標の設定:ミラクル・クエスチョン
限界設定
頻回の夜間電話と自殺の脅しへの対応
ルールの例外への対応
境界設定の仕切り直し
ヴァリデーションとノーマリゼーション
帰属スタイルと統制の位置
帰属スタイルの損得の治療場面
規則と自由
治療者の謝罪

第3章 治療その2:メタ認知の強化
Vygotaky,L.S.の近接発達の領域
思考記録
弁証法的統一:Linehan,1993
コントロールすることと,コントロールをやめること
積極的自己主張(アサーション)
他人が自分を理解してくれないと言って怒る患者
自律と依存の葛藤
物語論的アプローチ
問題解決療法
ロール・プレイ,逆ロール・プレイ

第4章 治療その3:個別的問題
自傷行為・大量服薬・薬物乱用・性的乱交
トラウマ
幼児期性的外傷体験
患者は母親の育児態度が自分の困難の原因と言い張る,外的帰属パターンから抜け出られない。自虐的でもある
離人症
居場所がない,空虚感
質問癖の患者
摂食障害
広場恐怖とパニック
強迫性障害(OCD)

第5章 治療その4:治療過程での問題
治療者への暴力への対応
甘えの問題でスプリットした状況
患者の怒りへの対処
治療への抵抗
治療セッションの時間を守らない患者
転移・逆転移関係
性的関係
診断の問題
受動攻撃性人格障害,否定性人格障害
他の治療との併用
薬物療法
治療効果
治療終結へ向けて

第6章 離人症について
概念史
症状
病型
健常人における離人の出現率
他の精神疾患との関係
離人症をおこす原因,きっかけ
生育歴,家族背景
生理心理学
機能的脳画像
神経心理学
生化学,内分泌学
離人症と文化

第7章 離人症の治療
Sookman,D.&Solyom,L.の治療=第一世代行動療法
Nezirogluらの治療=第三世代行動療法
Hunterらの治療=認知療法=第二世代行動療法
離人症の原因と発症メカニズム
補論1:セネストパチー(体感幻覚症)と離人
補論2:解離と離人

【著者紹介】
●著者略歴
有馬成紀 略歴

1975年(昭和50年)京都府立医科大学卒。精神医学教室入局。
 初めて受け持った患者は今で言う境界性パーソナリティ障害で持続性離人症を持っていた。燃え尽きて逃げた。
1977年(昭和52年)滋賀大学教育学部心理学科研究員。
 基礎心理学(認知心理学・行動心理学),行動遺伝学,行動療法について学ぶ。
1981年(昭和56年)洛東病院理学診療科勤務。
 中枢神経障害のリハビリテーション,神経心理学について学ぶ。
 その後10年間,精神科と中枢神経リハビリテーションを兼務。
1983年(58年)国立福知山病院精神科勤務。廃止されていた理学診療科を再興。
 同年精神神経学会で統合失調症のワーキングメモリーについて発表(統合失調症のワーキングメモリー障害の発表としては世界的にも早期のものと思う)。
1986年(昭和61年)京都府立医大精神科。明治鍼灸大学理学診療科(パート)。
 摂食障害,統合失調症のメタ認知を研究(高次機能リハへの関心から)。学位は摂食障害のメタ認知。BPDのメタ認知に関心を持つ。外来は圧倒的にてんかん患者が多かった。
1990年(平成2年)蘇生会総合病院,精神科,GP,理学診療科兼務。
1992年(平成4年)醍醐病院。
2005年(平成17年)醍醐病院院長。
 院長就任と同時に境界性パーソナリティ障害,解離性障害,強迫性障害,摂食障害などを対象とした重症神経症専門外来を開設。

内容説明

境界性パーソナリティ障害(BPD)は、精神科領域において最も困難な対象として、治療者を悩ませることで知られる。本書は、著者長年の経験をもとに、臨床現場からフィードバックしたBPD治療のコツを解説したものである。認知行動療法、物語論的アプローチ、問題解決療法、ロールプレイの技法など、最新の治療アプローチを詳述し、さらにBPDに多く見られる、自傷行為、摂食障害、大量服薬、性的乱交などへの対応についても述べている。さらに、治療者‐患者関係の暴力や患者の怒りの扱い、転移‐逆転移関係、治療抵抗性、など、治療プロセスに生ずるさまざまな問題にもふれている。後半部においては、BPDとの合併症として多く見られる離人症について、症状論、病型、家族背景、神経心理学的考察を展開し、行動療法、第三世代認知行動療法を中心とした治療アプローチを紹介する

目次

第1部 境界性パーソナリティ障害(境界性パーソナリティ障害について;境界性パーソナリティ障害の治療;治療その2:メタ認知の強化;治療その3:個別的問題;治療その4:治療過程での問題)
第2部 離人症(離人症について;離人症の治療)

著者等紹介

有馬成紀[アリマセイキ]
1975年京都府立医科大学卒。精神医学教室入局。1977年滋賀大学教育学部心理学科研究員。基礎心理学(認知心理学・行動心理学)、行動遺伝学、行動療法について学ぶ。1981年洛東病院理学診療科勤務。中枢神経障害のリハビリテーション、神経心理学について学ぶ。その後10年間、精神科と中枢神経リハビリテーションを兼務。1983年国立福知山病院精神科勤務。廃止されていた理学診療科を再興。同年精神神経学会で統合失調症のワーキングメモリーについて発表(統合失調症のワーキングメモリー障害の発表としては世界的にも早期のものと思う)。1986年京都府立医大精神科。明治鍼灸大学理学診療科(パート)。1990年蘇生会総合病院、精神科、GP、理学診療科兼務。1992年醍醐病院。2005年醍醐病院院長。院長就任と同時に境界性パーソナリティ障害、解離性障害、強迫性障害、摂食障害などを対象とした重症神経症専門外来を開設(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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るうるう

2
離人症について知りたくて読んだ(このテーマの書籍は少ない)。筆者(精神科医)も若い頃離人症に苦しんだ経験があり、自身がその症状を知る専門家の話は重みがあった。が、筆者は青年期に発症したせいか、幼児期の性虐待等のトラウマが離人症発症と関係があるという説にきわめて否定的だ。その根拠として、児童性虐待が社会的に認知されはじめてからそういう説が出てきたとか、筆者自身にその事実はないことをあげるが、患者に性虐待の事実がある例は確かにある。境界性パーソナリティ障害については医師と患者の生のぶつかり合いを垣間見れた。2015/04/12

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