内容説明
本書は気鋭のアメリカ思想史研究家カール・ガーネリの未公刊モノグラフ『空想的社会主義とアメリカ思想―アメリカ・フーリエ主義の教養と起源』(1979)の全訳である。19世紀半ばフーリエ理論はヨーロッパ中に喧伝されて広まった。もちろん新しい社会主義として。しかし彼の死後、その理論はアメリカで熱烈な共感をもって迎えられ実践されたのである。それはいかなる歴史的文脈のなかに定着したのだろか。どのように文化的伝統と結合したのだろか。本書は原本の副題の示すとおりそのアメリカ・フーリエ主義の起源と教義にかんする最初の徹底した研究である。
目次
序説
第1部 思想の発端(アルバート・ブリスベーン;民主主義の理想;超絶主義とユートピア;フーリエ主義と完全主義改革;社会改革からユートピア社会主義へ)
第2部 フーリエ主義イデオロギーとアメリカ(フーリエ主義と「共同体」の理論;アメリカの状況;キリスト教社会主義に向かって;「ファランクス」の世界;共同体運動のパラドクス;ユートピア社会主義とアメリカニズム)
地方分権の連邦制―アメリカにおける「社会科学」の発端について(宇賀博)