内容説明
戦いは人なり―海軍トップ集団の人材たちは、適材適所に配置され、またその職責を十二分に果たしえたのか。作戦の帰趨を決するリーダーの性格、能力、識量、勇気はどうだったのか。山本五十六ら十五人の“海軍の頭脳”たちを俎上にのせ、縦横無尽、単刀直入にその功罪を明らかにした現代人に贈る異色人物伝。
目次
1 先見性 山本五十六―艦隊決戦から航空主兵の時代へ
2 年功序列 山本五十六と小沢治三郎―悲劇に彩られた二人の司令長官
3 上将と猛将 山本五十六とハルゼー―太平洋で睨みあった異色の好敵手
4 適材適所 南雲忠一―難局で問われた指揮官の真価
5 逆境 山口多聞・角田覚治・大西瀧治郎―退勢挽回をはかった三人の提督
6 決断 栗田健男―沈黙の提督、レイテに突入せず
7 責任感 西村祥治―水雷屋提督、スリガオに死す
8 指揮官先頭 村田重治と江草隆繁―海軍魂をもった二人の猛将の最後
9 参謀の条件 宇垣纒・福留繁・草鹿龍之介・矢野志加三―連合艦隊司令長官と四人の参謀長
著者等紹介
吉田俊雄[ヨシダトシオ]
明治42年、佐世保に生まれる。昭和2年、海軍兵学校に入学、第59期。海大選科学生。蘭領東印度出張。米内光政、嶋田繁太郎、永野修身らの副官をつとめる。日米開戦前より軍令部第三部勤務、昭和18年より軍令部員・大本営海軍参謀。終戦時は中佐。平成18年12月、歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鐵太郎
9
今とはカバー絵が違う1985年のこの本の初版を読んでから、戦史と日本海軍への見方が変わったんだっけ。作者、吉田俊雄氏は海兵59期。太平洋戦争で名を上げた江草隆繁、村田重治らと同い年ながら一期下で友永丈市、橋本以行らと同期。主に軍令部参謀、海相副官として勤務した人。彼の視点で見た太平洋戦争の将帥たちとそれを補佐する参謀たちへの手厳しい提言。そして山本五十六の戦略とコミュニケーション不全が起きた理由。この作者の読みやすくて、わかりやすい文章が好き。2017/07/29
zunbe
3
指揮官を補佐する参謀という役割に着目して解説されている。真珠湾攻撃やミッドウェー海戦での参謀が取るべき行動(作戦前、作戦中、作戦後における戦況を適切に把握しての適切なアドバイス)と、実際になされた行動を比較し、問題点を指摘している。また、海軍トップの人事異動が年功序列に縛られたもので、必ずしも適材適所ではなかったという事に言及している点は興味深い。2015/11/17
カン野 たか徳
2
元海軍参謀が徹底的に内省を重ね組織の構造、トップの在り方を探った本。戦争フィクションとしても面白いです。中身は一人ひとりの指揮官に焦点を当てその当時の情景が浮かんでくるような文章、心情や台詞を綴り、その命令系統のどこに問題があったのか、指揮官の性格がいかに影響しているのかを観られます。賛美する事もなく、批判に終わる事もなく(批判が手ぬるいとは感じますが)、未来に活かせる普遍的な物として纏めています。苛烈な現場で指揮を出す人の苦悩と思考を目で感じる、それを自分の物に出来るのだろうかp(´⌒`q)2015/11/13
セイバー
0
主に太平洋戦争について
長門たつた
0
軽め