内容説明
明日は必ずやって来る―人間は固くそう信じて疑わない。だからこそ、暦をつくって未来に備えて種をまく。古くから連綿と繰り返されてきた「無意識的確率行動」である。一方で、予測へのやみがたい欲求は近代に入って「意識的確率概念」を生み出した。いまや科学の世界の法則は、数学という非日常的な言語をまとった確率概念があればこそ未来に対して意味をもつ。だが、日常言語との乖離の結果、「確率論神話」の台頭も避けがたいことだった。人間の認識能力の限界や悪夢のようなトートロジー(同語反復)…「確率」の意味をいま問い直す。
目次
第1章 数概念の奥に潜む根本問題について(科学理論の記述になぜ数式は不可欠なのか;人類は「0」や「1」を生み出すまでに苦労した! ほか)
第2章 無意識的な確率概念と意識的な確率概念(科学の世界の数式や記号は「ことば」である;科学表現理解の糸口としての確率概念 ほか)
第3章 意識的確率概念の意義と限界(「証明」の限界について;長さや距離に「絶対」はあるか ほか)
第4章 科学理論の本質と意識的確率概念のもつ課題(確率概念や偶然性についての決定論的見解;確率概念や偶然性についての非決定論的見解 ほか)
著者等紹介
本田成親[ホンダシゲチカ]
1942年、横浜に生まれ鹿児島で育つ。東京大学大学院博士課程修了。位相幾何学、基礎論専攻。東大教官を経てフリーランスとなり、数理哲学や科学理論関係の著述に携わるかたわら東京芸術大学大学院美術教育研究科客員講師を務める。1997年、「佐分利谷の奇遇」で第2回奥の細道文学賞受賞後、文芸作家活動に入る
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