内容説明
夏目漱石は近世以来の漢学の伝統のなかで書を享受した最後の世代であり、“非書家”であったからこそ近代の書道文化を眺望できた稀有な存在であった。本書は、『草枕』『行人』などにみる漱石独自の書道観や『こゝろ』の装丁などを通して、漱石の作品と近代の書道文化の変容について考察した、今までにはない視点と発想で挑んだ画期的な書。
目次
序論 近代以降の書の多様性
第1章 漱石と「書」―漢学と書道文化
第2章 漱石と王羲之
第3章 小説に描かれた書(一)―『草枕』の場合
第4章 小説に描かれた書(二)―『行人』の場合
第5章 『こゝろ』の装丁について
結論 近代以降における書の教養と表現
著者等紹介
河島由弥[カワシマユウヤ]
1991年、神奈川県相模原市生まれ。帝京大学文学部日本文化学科卒業。帝京大学大学院文学研究科日本文化専攻博士前期課程修了。同文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。平成29年度冲永荘一学術文化功労賞受賞。現在、帝京大学文学部日本文化学科非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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