内容説明
韓国併合、吉原の大火、明治天皇崩御―と、激動する日本。一方、遠くロシアではストルイピン首相が暗殺され、相次ぐ国際情勢の悪化が金融の引締めを招いていた。そんな中、二十四歳になった狂介は、内国通運の株を賭けて、甲府の百姓と偽り、天一坊と生死を分ける戦いを始めることに。しかし、その背後に潜んでいたのは新たな闇の支配者だった…。天才相場師の壮烈な「銭」の戦いを描く、大好評シリーズ第三弾。
著者等紹介
波多野聖[ハタノショウ]
本名・藤原敬之。大阪府出身。一橋大学法学部卒業後、国内外の金融機関に勤務、日本株運用のファンドマネージャーとして活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
128
相場と茶の湯と世界情勢を絡めてしかも、裏の奇兵隊というところである意味近代の伝奇小説いえるのでしょう。まだまだラスプーチンの魔力衰えずというところで、ドイツののちのヒトラーまで登場してきます。私は昔からこのような話が大好きなので楽しんでいます。2016/08/21
活字の旅遊人
43
三巻まで進み、一層話が大きくなっていく。狂介は完璧な若者だが、女性関係はもう一歩か。吉原に店を持ち、モテ男だが、愛情はなかなかなのかな。実在した人間、事件をことごとく扱っていくので、だんだん何が事実かわかならくなってきた。ただ言えることは明治から大正昭和と向かうこの時代、世界的に大きく世の中が動き、人々の思惑も多方向に広がって混沌の極みだった、ということか。今もすごいのだろうけど、渦中にいたら分からないものなのかも。最終場面で売れない画家ヒトラーが登場したが、予告に全く出てこなかった。むしろ気になる。2021/10/03
まつうら
32
高橋是清と伊藤博文がねらわれた国際謀略サスペンスの舞台はロシアに飛ぶ! 第3巻の事件はロシアの首相ストルイピン暗殺で、これが伊藤博文殺害の復讐に燃える赤根の仕業だったという驚きの展開。さらにストルイピンの背後には怪僧ラスプーチンが暗躍し、これが若き日のヒトラーともつながっていることを匂わせる。巻を追うごとに大きくなる謀略劇を考えた著者には脱帽だ。一方の日本では、大物相場師を使った政府の裏金づくりの陰謀に、主人公狂介が巻き込まれる! 国際謀略サスペンスと相場の陰謀をめぐる物語は続く。おもしろい!2022/06/08
Walhalla
30
第3巻では、日本の茶文化が色濃く描かれていたように思います。作品を通じて学ぶことが多いです。さて、明治時代から始まった物語も大正へ。「新しい時代は大正っていうぐらいだから、鯛背負(たいしょ)ってて縁起がいい。」という会話もありましたが、「相場もひとり、生きるもひとり、死ぬのもひとり」と言い放つ狂介の闘いが、今後どうなっていくのか楽しみです。2017/10/20
koba
27
★★☆☆☆2019/03/27