内容説明
奥祐筆立花家で、病弱な義姉とその息子の世話を献身的にしている寿々は、義兄・倫仁への思慕を心に秘めていた。が、そんなある日、立花家に大事件が起こり、寿々は愛するものを守るために決意する…(「花あらし」)。心に修羅を抱えながら、人のために尽くす人生を自ら選ぶ女性を暖かい眼差しで描く表題作他、こころの琴線に静かに深く触れる全五篇。瀬戸内の武家社会に誇り高く生きる男と女の切なさ、愛しさを丹念に織り上げる、連作時代小説シリーズ、待望の第三弾。
著者等紹介
今井絵美子[イマイエミコ]
1945年、広島県生まれ。成城大学文芸学部卒業。画廊経営、テレビプロデューサーを経て、執筆活動に入る。98年「もぐら」で第16回大阪女性文芸賞佳作。2000年「母の背中」で第34回北日本文学賞選奨。02年、第2回中・近世文学大賞最終候補作となった『蘇鉄のひと玉蘊』を郁朋社より刊行。03年「小日向源伍の終わらない夏」で第10回九州さが大衆文学賞大賞・笹沢左保賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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真理そら
55
再読。『鷺の墓』『雀のお宿』と微妙につながる連作短編集。市之進のその後の物語はもうないのかな。2021/02/20
ケイプ
13
「鷺の墓」「雀のお宿」に続く連作時代小説シリーズの第三弾。シリーズといっても全てに繋がりがあるという訳でもなく、その微妙な接点が読んでいて嬉しかった。2015/10/23
baba
8
理不尽な運命に健気に立ち向かう武家の女性を描く短編集。胸打つ作品が多い中で、「平左曰う」がくすっりと笑えた。2014/08/16
たーくん
7
奥祐筆立花家で、病弱な義姉とその息子の世話を献身的にしている寿々は、義兄・倫仁への思慕を心に秘めていた。が、そんなある日、立花家に大事件が起こり、寿々は愛するものを守るために決意する…(「花あらし」)。心に修羅を抱えながら、人のために尽くす人生を自ら選ぶ女性を暖かい眼差しで描く表題作他、こころの琴線に静かに深く触れる全五篇。瀬戸内の武家社会に誇り高く生きる男と女の切なさ、愛しさを丹念に織り上げる、連作時代小説シリーズ、待望の第三弾。 2018/04/25
山内正
3
文箱紅櫛やらを箱に入れ明日着換えすればこの家と縁が切れる 身一つでとこの家に母の残したの使うもよし、夫が言ってくれた 四つしか違わない息子のある男に嫁ぎ二十四で後家に 母上私がついておりますと祐一郎が 明日が祝言 貴方様これで良うございますね 実家へ少し帰るだけですよと 結納から祝言まで嫁方の派手な事に 迎える側を雪路は伯父に任せた 嫁の母が近寄り良く決心しましたと手を握り去って行った 娘を持つ母親の本性だ 戻った雪路に妹ら嫁が何故にと聞く 黙って聞いてた父が 戻って来て良いのだと掠れた声で2021/05/20