内容説明
仏像の美と庭園の幽玄さ。日本人の魂がここにある。写真多数収録。
目次
1 大和・飛鳥・斑鳩・吉野の寺(雪の室生寺;浄瑠璃の静寂 ほか)
2 若狭・近江の寺(存在感のある静けさ;若狭の寺の縁起 ほか)
3 紀伊・河内・静岡の寺(紀の国の寺;河内の寺を行く ほか)
4 鎌倉・岐阜・仙台・会津・奥羽の寺(紫陽花の頃;円覚寺と現代 ほか)
著者等紹介
辻井喬[ツジイタカシ]
1927年、東京生まれ。東京大学経済学部卒。詩人・小説家。著作に、『異邦人』(宝生犀星詩人賞)『いつもと同じ春』(平林たい子文学賞)『群青、わが黙示』(高見順賞)『虹の岬』(谷崎潤一郎賞)『父の肖像』(野間文芸賞)『鷲がいて』(現代詩花椿賞・読売文学賞詩歌俳句賞)『自伝詩のためのエスキース』(現代詩人賞)など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ビイーン
17
本書に古寺のガイドブックを期待するとガッカリするだろう。古寺巡りをしながら思索をしたい方に勧めたい。私は史実を有為的に創作した歴史認識と似たものを見つけて気分を損ねた。文庫本あとがきを読んでその理由が判る。2020/11/29
めぐみこ
2
古寺を巡りながらの思索たち。1927年生まれだけあって、終戦後のガラッと変わった日本にだいぶ思うところがありげ。タイトルから予想してたのとちょっと違った。というより、たぶんこの著者とは感覚が合わないんだろうなぁ。2020/08/27
白やぎさん
1
古寺の案内というより、著者の歴史観探求の道筋が語られる本。古来から現代までの宗教のありかた、寺社の存在意義、ひいては日本人の精神構造に至る思索には、考えさせられることも発見もあるが、これまでにも多くの人達が語ってきた有名寺院ばかりなので、やはり色あせた感は受ける。寺社の基本情報など参考になることもあったが、ガイドブックとしても、思索の案内としても中途半端だった。2022/05/13
yearning for peace
1
ビジネスマンでもあった著者が角川春樹の勧めもあって、古寺を巡りながら、歴史の糸を手繰り縦横に解きほぐす過程で、崇高なものへの尊敬の念を忘れなかった日本人がなぜかくも物質文明の底に浸ってしまったのか、思索をめぐらしています。ちょうど同じような悩みと疑問にぶち当たっていたので、思考の潤滑油にもなりました。近江や熊野の古寺にぜひ足を運んでみたくなりました。2009/09/17
4610tosan
0
奈良京都の有名な寺についてはつまらなかったのですが、近江鎌倉から俄然面白くなり東北に至って読み応えがありました。多分、自分の知識が奈良京都に限られているためと、辻井さんの明治期以降の歴史観が出てきたことによると思い当たり、特に、鎌倉期以降の新仏教とその文化が咲き誇る室町期以降に興味がわいてきました。何か、今の日本人の基底はここにあるような気がしています。あと、いまさらながらですが、宗教とは良きこと、善き心=社会性のことと捉えると理解しやすい気がします。社会には構成員一人ひとりに宗教を持いると。2014/06/04