内容説明
作品『それから』の、指輪に載る“真珠”や、長く密にどうどうと家を包んで降る“雨”などに、ユニークで未見の読みを論じる。その他「前期三部作」から、風や雲、竹などの自然、身の回りの小道具類の象徴性を拾いあげ、色の持つ象徴性を作品『虞美人草』を通して追究する。作品『坑夫』や『道草』を彩るユニークな換喩表現を読みとる。本論究の投じる一石は、作品『心』に仕上がりを見せる漱石「後期三部作」の構成に、スチーヴンソンの『ジーキル博士とハイド氏』との顕著な重なりを論究するなどなど、漱石の新聞小説から長編十作品について、その表現、表記等の特色を徹底して追究し、「漱石の表現や作品構造が、その小説技法が、“読者の幻惑”を生む。」と論じる。
目次
はじめに 作品即ち作者の表現
第1部 漱石の表現
第2部 作品に描かれる象徴
第3部 後期三部作における語りの転換
第4部 顕著に見られる視点の転換
まとめ 幻惑を生み出す表現
著者等紹介
岸元次子[キシモトツギコ]
昭和25年、福井県に生まれる。平成18年、武庫川女子大学大学院文学博士号取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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