内容説明
本書は教育というフィールドを主な舞台として、「科学的」理性の位置と限界を確かめ、科学的思考をも含む、より高次の「理性(合理性)」の可能性を模索する試みである。とくに、科学的「理性」の思考パラダイムとして、価値と事実、規範と事実の二元論に焦点を当て、その二元論に疑念を呈してみた。また、この二元論が、社会と教育にどういう帰結をもたらすかを明らかにするとともに、これを乗りこえる道を探る。さらに、測りがたい「実在」へと接近する営みとして、倫理道徳についての「学び」をとらえ直した。
目次
第1章 引き裂かれた精神―「科学的合理性」と人間
第2章 引き裂かれた人知―「価値」と「事実」の二元論
第3章 「知ること」と「生きること」の統合をめざして―道徳的認識と道徳教育