内容説明
人工格子は自然には存在しない新物質であり、膨大な種類の人工格子の可能性が存在するものの、これまでに踏査された領域はごくわずかである。GMRの出現によって焦点が当てられた部分には綿密な調査が行われているが、全体から見れば人工格子のごく一部が開拓されたに過ぎず、依然として未調査物質の宝庫であることには変わりはない。今後、基礎研究のモデル物質を設計したり、なんらかの新機能の発現を期待して物質開発を目指すとき、未知の可能性に期待してしばしば人工格子が見直されるものと予想される。現時点は、機能性材料としての人工格子研究が次の展開の方向を模索する時期にきている。これまでの研究を振り返るとともに、今後の発展の可能性を検討する。
目次
1 薄膜から人工格子へ(新物質としての人工格子;人工格子研究の意義)
2 人工格子の作製と構造評価(人工格子の作製法;人工格子の構造の分類 ほか)
3 人工格子の特性(磁気的性質;超伝導 ほか)
4 巨大磁気抵抗効果(GMR)(Fe/Cr人工格子におけるGMR;結合型GMRと層間結合 ほか)
5 GMRに関連するトピックス(GMR効果のバリエーション;GMR測定のGeometry ほか)
著者等紹介
新庄輝也[シンジョウテルヤ]
1938年京都に生れる。1961年京都大学理学部卒業。1966年京都大学大学院理学研究科修了(理学博士)。1966年京都大学化学研究所助手。1976年京都大学化学研究所助教授。1982年京都大学化学研究所教授。1996~1998年京都大学化学研究所所長。1992~2000年文部省学術国際局科学官兼任。2000年紫綬褒章受章。現在にいたる
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