内容説明
フルートとの電撃的な出会いから5年。ユージは岐路に立たされていた。本気でめざしても、プロになれるのはひと握り。クラシック音楽界のきびしさを目の当たりにした15歳のユージの決断とは…?イタリア、トスカーナの小さな町に暮らす少年ユージの青春音楽小説。
著者等紹介
佐藤まどか[サトウマドカ]
『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。イタリア在住。日本児童文学者協会会員、季節風同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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☆よいこ
93
YA。音楽小説。ユージはイタリア生まれイタリア育ちの少年。母と見に行った無料コンサートでフルートの音に魅入られ自分もやりたいと言う。公立の音楽院なら格安の授業料で通えると入学試験を受けに行くが、その時点でフルートに触ったことも吹いたこともなかった。音感を認められ音楽院に通い始めるユージ、テクニックを磨くことに慣れ、なんのためにフルートを吹いているのか不安にある日もあった。経済的に厳しく新しい楽器を買うことをためらうこともあった。音楽を通じて成長する少年の物語。▽音楽小説好きだわ。2020/09/03
ひめか*
59
こんなに上手くいくわけないと思いつつ、音楽院にどっぷり浸かれて楽しかった。未経験で入れるとかあり得ない笑。私は高校の時、ピアノの先生に今からがっつり練習すれば音大いけると言われて、音大に憧れていた時期もあったが、夢は別にあったからその道にはいかなかった。演奏を極めるって本当にすごいことで、音大の友達は毎日課題で大変そうだった。毎日怒られて練習し続けたら、音楽を嫌いになってしまいそうで、私には趣味が丁度いい。でも後書きのように、この経験はどの道に進もうと糧になると思う。音楽が好きという気持ちが何より大事!2022/05/12
kei302
35
順位がつくコンクールではなく、オーディションの連続。選ばれる者とそれ以外の者。十代の若者たちが自分の道を見つけようともがく。自分の限界を知る。そして それを超える。 10歳でフルートを始めたユージ。思い通りの道に進んでいるのに ちっとも嬉しくない。演奏するとか、吹くとかじゃなくて「こなす」状況から脱することはできるのか。マエストロ:ビーニとの出会いをきっかけに変わっていくユージを周囲の大人たちと同じ目線で温かく見守る。多くの人に支えられ、ユージが一歩一歩 自分の道を進んで行く。NetGalleyJP 2019/11/03
うー
30
イタリアで母と暮らすユージは10歳の時に国立音楽院生徒による無料コンサートに出掛け、フルートの音色に感動。その音楽院に入学しフルート演奏家を目指す。が、音楽院でのハードな勉強やフルートの練習の日々に心がすり減り音楽を楽しむことが出来なくなる。将来への不安、高価な楽器を手に入れられない現実、ライバルたち。音楽とは、演奏する意義とは…自分を見失いかけていたユージと一緒にもがき悩む。瞬間瞬間、常に変化していく美しい音楽を理解しステージに立つユージ。「音を楽しめ。そして客も楽しませろ!」2021/05/04
白雪ちょこ
29
イタリアが舞台で、プロのフルーティストを目指す少年の話。 音楽やフルート、様々な楽器のことについても詳しく描かれているため、音楽についての勉強にもなる。 個人的には、ピアノとの伴奏者を選ぶ時に放った外国人女性の、人種差別発言が印象に残っている。 「アジア人は、どれも顔が同じだから。」というのは、日本人である私も少々傷つく言葉。 しかし、それでも諦めずにプロになろうと、様々な人達から支えられ、頑張り続けているユージの姿に、背中を押された気がした。2023/02/22