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世界の社会政策の動向―能動的な社会政策による機会の拡大に向けて OECD社会保障大臣会合報告

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  • サイズ B5判/ページ数 222p/高さ 26cm
  • 商品コード 9784750321509
  • NDC分類 364
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「子どもと家族」「貧困と疎外」「高齢者の所得保障と介護」など、現代の社会保障の課題と取り組みを、各国の具体的な政策を網羅しつつ、国際比較可能な形で整理・分析し、今後の社会保障制度のあり方を提示する。

日本版刊行によせて
訳者序文
序文
概要
第1部 社会政策の文脈
第1章 OECD加盟国における社会的発展:進捗状況の見取り図
1. 序論
2. 指標による社会的発展のモニタリング
3. 結論
第2章 より能動的な社会政策の必要性
1. 序論
2. 社会的保護の伝統的モデル
3. 社会政策の文脈における変化
4. より野心的な社会的保護の目標
5. 結論
第3章  社会的保護のための役割の拡大
1. 序論
2. 社会的保護についての民間の役割に対する賛否に関する理論上の論拠
3. OECD加盟国における社会的保護のアレンジの相違
4. OECD加盟国における改革の経験
5. 社会的保護における公私の役割のよりよい組み合わせに向けて
6. 結論
第2部 子どもと親により明るい将来を与える
第4章 子どものいる家族:実績と挑戦
1. 序論
2. 政策と実績
3. 現在の挑戦
4. 結論
第5章 子どものいる家族に対するより効果的な政策
1. 序論
2. 公的所得移転と税制優遇措置は子どもの貧困を減少させることができる
3. 子どもに対する投資は長期的には利益となる
4. 母親の雇用の拡大は
3. 今日の挑戦
4. 結論
第9章 高齢者に対するより効果的な政策
1. 序論
2. 退職所得を多様化させつつ公的年金制度の負担を削減する
3. 労働期間の伸長は、高齢期の貧困と年金コストの双方を削減する
4. 増加する虚弱高齢者に対するよりよい介護
5. 結論
参考文献

"訳者序文
 本書は、2005年3月31日、4月1日に開催された第4回OECD社会保障大臣会合(Meeting of OECD Social Affairs Ministers)の背景文書となった英文報告書の和訳である。今回の会合のテーマは、原書の副題にある「能動的な社会政策は、いかに我々すべての者の利益となりうるか」であり、「社会政策は、能動的なもので、人々の能力への投資やその潜在的能力の実現を強調すべきであり、単なる不幸に対する保険ではない」(同会合コミュニケ参照)との認識に基づいて議論が行われた。
 本書では、原文の“Active Social Policies”を「能動的な社会政策」と訳したが、これは、この認識に示されるように、社会政策の目標を、人々に対する投資等を通じて“Activate”することにあるとし、より一般的と思われる訳語の「積極的」では、その意味が十分に出ないと考えたからである。また、本会議の和訳については、従来、「社会保障大臣」という語が当てられているが、人々を「能動化」するための施策は、従来の「社会保障」の枠組みで捉えきれるものではなく、その再考を求めるものでもある。我が国においても、終身雇用を前提とした雇用政策、社会保険のあり方の見直し、自立支援をよりえ、それぞれの優先政策課題を挙げている。これらは、第2部から第4部の各部における結論でもある。

○可能な限り最良の人生のスタートを子どもに付与すること(第2部)
 (政策優先課題)
●子どもに対する投資
●母親の雇用の促進
●家族と労働の責任の調和
●出生率を上昇させるために望ましい枠組みの創出
○壮年期の個人が質の高い仕事に対する障害を克服するための支援(第3部)
 (政策優先課題)
●「福祉から労働へ」の課題の完遂
●「労働における福祉」の進展
●市場経済における有償労働の可能性があまりない人々を対象とする社会的プログラムの有効性の強化
●貧困と疎外に影響を与える異なる政策の一貫性の促進、および貧困削減目標の達成への長期的関与
○高齢者の経済的、社会的生活への参加を増進することによる彼らの厚生の保護(第4部)
 (政策優先課題)
●公的予算に対する老齢年金のコストの限定
●労働期間の伸長の選好
●長期介護の質とアクセスの改善

 同様の趣旨は、各国担当大臣の同意による社会保障大臣会合コミュニケにも盛り込まれているが、これらが各国に対する強制力を持つわけではなく、そ支援をいただいた。この場を借りて厚くお礼申し上げる。"

目次

第1部 社会政策の文脈(OECD加盟国における社会的発展:進捗状況の見取り図;より能動的な社会政策の必要性 ほか)
第2部 子どもと親により明るい将来を与える(子どものいる家族:実績と挑戦;子どものいる家族に対するより効果的な政策)
第3部 壮年期にある者の貧困と疎外に対する戦い(壮年期における貧困と疎外:実績と挑戦;貧困と疎外の削減のためのより効果的な政策)
第4部 高齢者が直面するリスクの移行への対応(高齢者の社会的状況:実績と挑戦;高齢者に対するより効果的な政策)

著者等紹介

井原辰雄[イハラタツオ]
広島県生まれ。London School of Economics and Political Science,LL.M.修了
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