内容説明
戦前の社会において、人びとは身近に存在した軍隊といかに向き合っていたのか。徴兵制や師団編制、軍人のありかたとその生活など、制度と実態の多様な項目を解説。現代のわれわれが軍隊を考えるための知識を集成する。
目次
1 軍隊という制度(徴兵制の成立と変遷;徴兵忌避者と所在不明者―史料からどうせまるか;陸軍の部隊と駐屯地・軍用地;軍港・鎮守府・海軍工廠)
2 軍人のありかた(地域社会に暮らす軍人たち―将校団・在郷軍人会・偕行社・水交社;大元帥と皇族軍人;軍事郵便)
3 軍隊での生活(秋季演習・大演習・特種演習―陸軍の軍事演習;日本陸軍の軍事医療―病院・療養所;日清・日露戦争と従軍僧・従軍神官;軍馬)
著者等紹介
荒川章二[アラカワショウジ]
1952年生。国立歴史民俗博物館研究部教授
河西英通[カワニシヒデミチ]
1953年生。広島大学大学院文学研究科教授
坂根嘉弘[サカネヨシヒロ]
1956年生。広島修道大学商学部教授
坂本悠一[サカモトユウイチ]
1947年生。立命館大学社会システム研究所上席研究員
原田敬一[ハラダケイイチ]
1948年生。佛教大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nnpusnsn1945
39
日本軍の基礎知識として、徴兵、基地、将校団、皇族軍人、軍事郵便、演習、病院、従軍僧、軍馬についてとりあげられている。皇族軍人の項目に、明治天皇がストレスで深酒をした結果、乗馬不能となったのは発見である。一ノ瀬先生の担当箇所である軍事郵便については高橋峯次郎氏の郵便や、藤井忠俊の『兵たちの戦争』が取り上げられている。前者は国立歴史民俗博物館の紀要がネットで閲覧可能である。新井勝紘氏の論文も参考になるだろう。後者は朝日文庫でも出ているが、コスパもボリュームも最強なので是非!2023/07/30
Toska
12
他の方も書かれている通り、「基礎知識」よりは多少ひねりをきかせたテーマが並ぶ。例えば徴兵忌避・所在不明者、皇族軍人、従軍僧などについては、まとまって書かれたものを読むのも初めてかもしれない。紙幅の関係で各論ともやや踏み込みが浅い憾みはあるが、それぞれ参考文献が紹介されているので助かる。それにしても、軍が敗戦時に命じた資料焼却がこれほど研究を阻害しているとは…徴兵という基礎的な項目についてすら分からないことが多いようだ。2023/07/03
あきかん
5
かなり広範な内容を扱っているのでなぜこのテーマが取り上げられているのかというものがいくつかあった。それは私が旧日本軍の軍人の階級や官僚制との関係も知りたかったからだけど。しかし、実際に読み進めると、鎮守府、在郷軍人関連、軍事医療、従軍宗教人と、ほとんどのテーマが興味深い。皇族軍人の項は、皇族や軍人の具体名とともに来歴にも触れられていて、天皇・皇族と職業軍人の関係が人間臭く、一般社会にも通底していると感じた。それは、天皇をはじめとした皇族が各局面でどう「扱われた」かを浮き彫りにして最も読み応えがあった。2016/05/03
結城雄貴
3
軍事郵便や軍事医療、徴兵忌避など、軍事史に関する様々なテーマについてまとめらています。基礎知識編と銘打たれている割に、取り上げられている内容がだいぶマニアックな感じがします。 従軍僧や従軍神官についての記述は他にあまり見たことがなく、興味深く読めました。2015/09/21
onepei
1
いろいろな興味深いテーマが紹介されていた。2015/06/21