内容説明
二〇〇七年の教科書検定で大きな波紋を呼んだ「集団自決」問題。生存者の証言・新資料などによる沖縄戦の検証から、その実態と全体像に迫る。「集団自決」の原因を“天皇制国家の支配構造”から解き明かした問題作。
目次
日本軍の強制が削除された教科書検定問題―プロローグ
「集団自決」の実相(沖縄・慶良間列島;沖縄本島と伊江島;太平洋地域・中国東北;「集団自決」がおきなかった島々)
追い込まれていく道(住民が犠牲にされた沖縄戦;自由の抑圧と監視;沖縄における戦時体制;「集団自決」がおきた地の特徴)
その背景―捕虜を認めない思想(死を強いられた日本軍将兵と捕虜虐待;日本軍の民間人の扱い方)
なぜおきたのか―「集団自決」の構造(地域社会の支配構造;「集団自決」の全般的要因;援護法と「集団自決」)
構造と個人の責任―エピローグ
著者等紹介
林博史[ハヤシヒロフミ]
1955年、神戸市に生まれる。1985年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了(社会学博士)。現在、関東学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はーこ
6
うー読むの辛かった…凹日本軍って結構ひどいことしてたのね、国民にも。自決を迫られるってどんな気持ちなのだろう。米兵とはこういうもんだっていうのはあれ、洗脳だと思う。心境を思うと心が痛い。2015/04/29
たろーたん
1
集団自決とは、米軍に捕まらないために手榴弾を使って集団で自殺することである。ただ、手榴弾で死にきれなかった場合、鎌や剃刀、石や木の棒で力ある男が家族を殺していくのである。正直グロ過ぎる。では、なぜこのようなことが起きたのか。理由は多々あるが、心理的な理由としては、①捕虜になることは恥であったこと、②米軍に捕らえられると酷い殺され方をすると教えられていたことが挙げられる。サイパンで捉えられた民間人に対する意識調査によると、前者が79人で後者が348人なので、②の要因が大きい。(続)2024/10/14
takao
1
ふむ2021/05/07
さとまみ読書垢2(小説・その他専用)
1
「構造的、多面的に人々を「集団自決」に追い込んだものを明らかにしながらも最後の決定的な役割を果たしたものを明確にすること、そういう重層的構造的認識が必要」
honmakainaa
1
体験談、エッセイというよりも、学術的側面からの分析。用語の定義等にもこだわっており、論文的。2014/02/16