感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うえ
8
近代文学評論年表がついており、とても便利。明治元年から、昭和32年のスプートニク打上げの衝撃を昇華した荒正人の『宇宙文明論』まで。明治批評にいかにハルトマン美学が猛威をふるったか。プロレタリア文学論の誕生から続出した第四階級文学論。「マルクス経済学にかえてダグラスの信用経済学による理論を案出」し顧みられずに終わった久野豊彦など。だがやはり小林秀雄か。「テーヌ、サントブーブ、ヴァレリーなどの近代批評を師とした小林の鋭鋒は、マルクス主義文学の網の目をこぼれた芸術性や人間性を拾い出して搦手から敢然と挑戦した。」2019/12/12