内容説明
標高3193m。日本第二の高峰・北岳。そこに南アルプス山岳救助隊があり、山岳救助犬を伴うK‐9チームがいる。山岳救助、犬との交流、親子の絆のほか、「南アルプス山岳救助隊K‐9」シリーズの転換点となる「相棒(バディ)」、単行本未収録作品「夏のおわりに」を含むバラエティあふれた全12編を収録した本格山岳小説集。
著者等紹介
樋口明雄[ヒグチアキオ]
1960年生まれ。作家。2008年『約束の地』(光文社)で、第27回日本冒険小説協会大賞および第12回大藪春彦賞を受賞。13年『ミッドナイト・ラン!』(講談社)で第2回エキナカ書店大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
122
【図書館本】南アルプス山岳救助隊シリーズ。雑誌「山と渓谷」に連載されていた12編の短編集。一話が30pほどの短編なので、前作ほどの大きなスケールとアクションは無いが、私はむしろこういった小品の方がこのシリーズの魅力を感じることができる。四季折々、魅力のある北岳。夏の登山で見た高山植物が咲き乱れるお花畑、秋の大樺沢の鮮やかな黄葉、そんなものを思い出しながら読んだ。ミステリーあり、ホラーありの内容だが、この中ではやはり「相棒(バディ)」だろう。ハンドラーと彼らの相棒となる犬たち。グッと泣けてきた。★★★★2018/01/27
ゆみねこ
107
今作は12編の短編集。山と渓谷社からの出版、連載をまとめたものだと。八ヶ岳の七倉さんと関さん登場が嬉しかった!相棒では大泣きしました。本当にこういう山岳救助隊が実在して欲しいなぁ。もちろん救助犬も!安定の面白さ、過去シリーズを未読の方も、この本からスタートされてもOKです。2017/06/30
Kawai Hideki
103
南アルプスの北岳を舞台にした、架空の山岳救助隊K-9と、その救助犬たちとの日常と活躍を描く短編集。オースドックスな遭難者救助のエピソードだけでなく、雷が間近で炸裂する恐ろしい光景もあれば、幽霊の手引きで遭難者の遺体を発見するお話もある。ライチョウの密猟者を捕まえたり、リニア新駅の建設反対運動とのいざこざや、死んだと思われた遭難者が自分の葬式の最中に帰って来るお話など、いろいろアイデアが張り巡らされていて面白かった。そして、いつもそばにいる相棒としての救助犬たち。隊員と彼らの絆も読み応えがあった。2018/02/05
みかん🍊
102
K-9シリーズの今回は夏実たち山岳救助隊と救助犬たちが活躍する12編の短編集、山には様々なドラマがあり奇跡や不思議がある、「辞表」の機動隊の行為には怒りを感じ「相棒」の進藤とカムイの絆には涙なしには読めなかった、辛い別れや出会い、それでも山を愛する彼らは人を救うために今日も活躍し続ける。2018/03/05
Rin
89
【図書館】短編集で、山岳救助犬もしっかり活躍する。このシリーズは山への深い愛を感じる。安易に登山することの危険や、ルールの大切さ。なによりも自然への敬意も。山を通して、救助隊の人たちを通して色んな物語があった。人と自然、動物との共存という問題も投げ掛けられている。でもやっぱり「相棒」が一番だった。進藤さんもカムイの深い絆に涙が溢れてくる。お互いを大切に思う気持ちが痛いほど伝わってくる。今回はたくさんの絆と繋りがあって、一つひとつ大切に読み進めた。新しい出会いもあったので、次を読むのが楽しみです。2017/11/03