出版社内容情報
「病は治る、病だから治せる」…。臨床現場で日々戦う精神科医が、そのための具体的な治療をQ&Aでわかりやすく説く。「発達障害」をもつ子どもたちがさらされてきた世間にある誤解を解くために、本書ではまず「症例」を解説し、子どもたちが年齢とともに成長する姿をていねいに紹介する。次にQ&A形式で疑問に答えながら、「発達障害」は「彼方の存在」ではなく「身近な隣人」であり、早い段階での支援が大切であることを強く訴える。
ちなみに「発達障害」は、現在いうところの自閉スペクトラム症、注意欠如・多動症、限局性学習症、通常低年齢で発現する脳機能の障害の総称である。本書は、発達障害の理解に不可欠な自閉スペクトラム症の事例を軸にして描いている。
序章 本書の流れについて
第1章 就学以前── 徴候が出たら、まずは小児科?
症例1 T男くん
Q1 T男くんは乳児期から他の子どもと違う特徴があったようですが、そのうち自閉スペクトラム症の兆候と言えるものを教えて下さい。(兆候)
Q2 4歳頃のT男くんにとってサングラスの使用はどのような効果があったのですか。(サングラスの効果)
/ほか
第2章 小学校── 精神科への通院はこの頃?
症例2―? A子さん
Q1 小学1年生の時のA子さんが人の持ち物を隠したのはどういう理由からでしょうか。(繰り返し行動)
Q2 A子さんの場合、どのようなところが自閉スペクトラム症の特徴を示していますか。(情動的反応)
/ほか
症例2-? B子さん
Q1 子どもの頃のB子さんは場面緘黙のようですが、普通の場面緘黙とは違うのですか。(DSM-5)
Q2 自閉スペクトラム症の特徴は、B子さんの場合、どこに現われていますか。どんな風に出ていますか。 (「喋らない」ことを選択)
/ほか
コラム 「喋ろう」と思ったら「喋れた」B子さん
第3章 中学生── 思春期真っ只中
症例3-? C男くん
Q1 C男くんの十歳頃から始まった「イライラ」はどこから来ているのでしょうか。(抽象的な考えが苦手)
Q2 C男くんは他生徒と仲良くしたいにもかかわらず、その言動がトラブルを招き、相手を許せなくなってしまうのはなぜでしょうか。(人と関わりたい)
/ほか
症例3-? D子さん
Q1 D子さんは小学校の時は「宿題をしない子」、中学校では「だるい」ため不登校になっていますが、これはなまけていると考えてよいのでしょうか。(なまけ)
Q2 D子さんに強い睡眠障害はなさそうにみえますが、睡眠薬で心が落ち着いたのはどうしてでしょうか。 (睡眠薬)
/ほか
コラム 「今どき」の保健室
第4章 高校生── 病気を自覚する
症例4-? M子さん
Q1 M子さんの生育環境にはどのような特徴がみられるでしょうか。(遺伝)
Q2 M子さんの場合、父親との感情的交流が乏しかったことが、M子さんの抑うつ症状や対人恐怖に繋がったと考えられるでしょうか。(父親との関係)
/ほか
症例4-? N男くん
Q1 N男くんの喋り始めの遅さや5歳までの夜尿症と、後に発症する病気とは、何か関連がありますか。この時点で親が注意しなければならなかったことはありますか。(親子の関係)
Q2 N男くんは大変積極的な性格に見えます。と同時に精神的もろさも感じます。この積極的な部分ともろさは、N男くんが後に診断される病気と関連があるのでしょうか。(もう一つの病)
/ほか
コラム 「DSM」
第5章 大学生── 病気に苦しむ
症例5 K子さん
Q1 K子さんの「記憶がなくなる」のは、解離症状なのでしょうか。(自分がいない)
Q2 英単語は覚えられるのに、その日授業があるのを忘れる、バイトで「払い込み手続き」は覚えられるのに、どこまでレジ打ちしたか忘れる、などの奇妙な記憶症状はなぜ起こるのですか。(解離症)
/ほか
コラム 性的虐待と解離症状
第6章 発達障害とは── それは病なのか、性格なのか
事例6-? Hさんのこと── 20歳の不幸
Q1 もしHさんが早くから発達障害の専門機関で診断と支援を受けていたら、Hさんの生活はどのように変わっていたでしょうか。(診断と支援)
Q2 Hさんの持つ発達障害は児童期から思春期にかけてHさんにどのような困難をもたらしたと考えられるでしょうか。(児童期から思春期へ)
/ほか
事例6-? Iさんのこと── 幼い女の子への執着
Q1 うつ病にはいくつかのタイプがあると聞きますが、Iさんのうつ病は何らかの心理的ストレスによるものでしょうか。(うつ病のタイプ)
Q2 Iさんの「死にたい」はうつ病の症状と捉えていいですか(「苦痛」からの逃走 )
/ほか
コラム 少年法の背景の少年観
終章 児童精科医と呼ばれて
十一 元三[トイチ モトミ]
監修
崎濱 盛三[サキハマ モリミツ]
著・文・その他
内容説明
乳幼児期から思春期へ、思春期を超えて、“病”を追う。生まれた時から物語は始まっていた。
目次
序章 本書の流れについて
第1章 就学以前―徴候が出たら、まずは小児科?
第2章 小学生―精神科への通院はこの頃?
第3章 中学生―思春期真っ只中
第4章 高校生―病気を自覚する
第5章 大学生―病気に苦しむ
第6章 発達障害とは―それは病なのか、性格なのか
終章 児童精神科医と呼ばれて
著者等紹介
十一元三[トイチモトミ]
京都大学大学院医学研究科教授(臨床認知神経科学分野)。1957年、三重県生まれ。1976年、兵庫県立神戸高等学校卒業。1989年、京都大学医学部卒業。1994年、同大学院脳統御医科学系修了。1999年、滋賀大学助教授。2000年、米国ケースウエスタンリザーブ大学児童青年精神医学部門主任研究員。2004年、京都大学医学部保健学科教授。2007年より現職。文部省中央教育審議会(脳科学委員会)専門委員、同省科学技術・学術審議会専門委員、学校保健に関する各種会議座長、厚生労働省健康日本21(第2次)プラン策定専門委員などを歴任。特定非営利活動法人「発達障害研究推進機構」理事長。専門は児童精神医学、認知神経科学、自動司法精神医学。医学博士。『発達障害』に関する論文多数
崎濱盛三[サキハマモリミツ]
洛和会音羽病院神経精神科勤務。1994年、京都大学医学部卒業。4月京都大学医学部附属病院精神科入局。1995年4月京都大学医学部老年科入局。9月舞鶴市民病院内科勤務。2006年、洛和会音羽病院神経精神科勤務。1999年~2007年、大津家庭裁判所医務室技官を非常勤で勤務。2017年まで、洛和会音羽病院神経精神科副部長。2018年、退職後も音羽病院にて、日々臨床を行いながら児童福祉施設、老人ホームなどへ出向き、診療を行う。また鑑定医として被告人の精神鑑定を務める。児童心理施設(以前の情緒障害児短期治療施設)さざなみ学園の嘱託医師。滋賀県子ども家庭相談センター(いわゆる児相)児童担当嘱託医師。同志社女子中学校・高等学校発達相談医療顧問、延暦寺学園比叡山中学・高等学校教育相談スーパーバイザー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゼラニウム/フウロソウ科