内容説明
いま、日本の“農”の現場では起業家たちが新たなアイデアのもと、さまざまな挑戦を続けている。本書では、ソーシャルビジネスの先駆けともいうべき有機・低農薬野菜の宅配を手がける「らでぃっしゅぼーや」、新規就農者を支え持続可能な農業を志向する「坂ノ途中」、販路構築を基点に農業の産業化をめざす「クロスエイジ」の取り組みを提示し、その意義を問う。
目次
第1章 安心・安全な食品の全国宅配―「らでぃっしゅぼーや」の場合(らでぃっしゅぼーやの前史と創業;「反農薬」を基本とする農産品の取り扱い基準;アニマルウェルフェアを目指す畜産品の取り扱い基準;投薬を原則禁止する水産品の取り扱い基準;国産原料を優先使用する加工食品の取り扱い基準;消費者ニーズを優先するアトピー・アレルギー対応商品の取り扱い基準;らでぃっしゅぼーやの特徴的な商品展開;その他の取り組みとその後の推移)
第2章 新規就農者とめざす持続可能な農業―「坂ノ途中」から見える風景(坂ノ途中と新規就農;坂ノ途中ができるまで;新しいのか、新しくないのか;前に進む坂ノ途中;めざす未来の手触り)
第3章 地産外消・中規模流通の意義―「クロスエイジ」の事業展開(「農業の産業化」をめざして;中規模流通とは何か;三事業同時展開の意味;時系列でみるクロスエイジの歩み;農産物流通の現状と将来)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬弐仟縁
21
益貴大氏曰く、食とは本来、人の身体や心を健全に育み、未来を託すためにある(5頁)。小野邦彦社長によると、中山間地の空き家や耕作放棄地を貸すことを渋る地権者だが、方針転換を迫られる時がくると指摘(106頁)。固定資産税が高くなるため余計にそうなるかもしれない。 2015/10/11
いっちょむ
1
有機農産物という土俵で「新規就農者」に着目した(株)坂ノ途中。その意欲的な目標設定も方法論も,先行するオイシックスなどとの差別化が強く意識されているように感じる。先人をいかに乗り越えるか。/「農業の産業化」と「上場」を掲げる(株)クロスエイジ。「中規模流通」というコンセプトは,地産地消でも市場出荷でもない,第三の道。自ら流通開発を行いながら,小売事業も手掛け,さらに商品開発等のコンサルタントも行う。三位一体の相乗効果。実業を実践しているコンサルタントは強い。ノウハウが一部開示されており,大変勉強となる。2016/05/06
noujoujin
0
らでぃっしゅぼーや、坂ノ途中のように、農業の分野で既存の発想に捉われず、利益を企業として上げることはもちろん、社会貢献としてどのように価値を出し、何を考えて事業に取り組むのか学ぶために手に取る。 異なるビジョンを掲げた3社のビジネスモデルと創業期からの取り組みを追う中で、農業が持続的に儲かる仕組みをあらゆる方法で、試行錯誤してきたことを学べる。 農家の販路開拓サポート、作物のブランド化、地産地消だけでは企業として利益を生み出せないという見解を理解し、自身のビジネス構築につなげたい。2020/10/03